高知市から東北に約15キロほどの距離にある香美市土佐山田町。
普段滅多なことでは行くことがないこのエリアに美味い焼肉屋があるという。
近場で飲むことに飽きていた僕は同僚を連れて、土佐山田へと向かう。
もちろんJRで。
久しぶりの『遠くで飲みたい』シリーズである。
市内だと何時まで飲んでもタクシーで帰れてしまう。
だからダラダラと無駄な酒を飲む。
だからこそ遠くで飲みたいのよ。
ケツが決まってる飲み会ってのはピシッとした緊張感が生まれる。
17時過ぎの汽車に乗りこむ。
そもそも土佐山田なんて車でも滅多に行かない。まして汽車でなんて初めてのことである。
自然とテンションが上がる。
高知駅から30分ほどで駅に着いた。
駅の出口から正面を向いてまっすぐ歩くこと2分。
道沿いに看板が見えた。
そう。目当ての店の名は『とんちゃん』である。
この店こそ、知る人ぞ知る人名店。
予約なしではなかなか入れない人気焼肉店なのである。
年季の入った看板からもう味がにじみ出ている。
18時に予約をしている。
玄関を開けると、パンパンのお客さんとモクモクの煙。
完全に美味い店の雰囲気に満ちていた。
店内はいわゆる『町焼肉』といった感じ。
適度にやられ感が漂っている。
予約の段階でいくつか事前に注文をしていたので、すんなりと運ばれてきた。
まずはタン。
この厚さと大きさにまずビビる。
そして噛めばもっとビビることになる。
しゃくっと嚙み切れる柔らかい肉質に溢れる旨味。
タンのパサついた感じは一切なし。
しっとりとジューシーなタンである。
これは美味い。完全に美味い。コスパヤバい。
なお、メニューの写真もタンの焼く前の写真を撮り忘れている。(ブログやめろ)
そのくらい興奮していた。
つづいてはホルモンの盛り合わせ。
とんちゃんはホルモン屋である。
電話で予約した際にも、店員さんにおススメを聞くと迷わず「うちはホルモン屋ですから」と言っていた。それだけプライドを持っているのだろう。
それがこれである。
分かる人には分かると思う。
これがハチャメチャに美味しいということが。
マジでどれも新鮮で臭みなど一切なし。
相当ハイレベルなホルモン達。
このホルモンに完全にやられた。
3人でむさぼり食べて即座におかわりをした。
その後もカルビにハラミにツラミと、ガツガツと食べ進める。
そのどれもが美味しく、途中に挟んだ白ご飯もツヤツヤのピカピカで一切ぬかりなし。
そしてそれだけじゃない。
この店の素晴らしい所はもう一つ。
店員が非常によく鍛えられている。
お店のサイズに対して店員が多く、常にすべてのテーブルに目を光らせている。
ビールの追加、肉の追加など全くストレスなく瞬時に対応してくれる。
また、焼き網の交換も、早めに向こうから言ってきてくれるのでありがたい。
若くて元気な店員がキビキビと動く姿は気持ちがよく、接客を叩き込まれていることがよく分かる。
土佐山田という少し香ばしい地域のためか、隙のない店づくりが徹底されている印象だ。
そのおかげで時間を忘れ、2時間大いに食べて大いに飲んだ。
会計も、想像よりも安くて驚かされた。
これはいい店だ。
最近の焼肉屋は、きれいにきれいになってきている。大きなお皿、もしくは木箱に肉を数枚盛り付けて、肉の部位が書かれた紙を添える。薄く小さくカットされて肉たちはどれも1人前1000円を超えてくる。
そんな店ばっかりあるなか、とんちゃんは違う。
気取らず飾らず美味い肉をたらふく食わせようという気概に満ちている。
ぜひ行ってほしい。僕もすぐにまた行くつもりだ。
ちなみにこの日一緒に行った同僚は、気に入りすぎて翌週も行っていた。
そのくらいの中毒性があるのである。