先日、同じ業種の会社が集まっての大きな飲み会が開かれた。
ホテルの大広間を使ってのしっかりとした飲み会など4年ぶりである。
コロナ前は頻繁に行われていて、あまりの多さに辟易としていたものだ。
お酒は嫌いじゃないが、仕事の飲み会だと話は違う。
自分の席でゆっくり飲める時間なんて最初の数十分だけだ。
あとはひたすらにあいさつ回り。
若手が瓶ビールとグラスを持ってあっち行ったりこっち行ったり大忙しなのである。
「○○部長のとこ行った?」「今は大事な話してるっぽいから○○所長のとこに行こう」「○○さんもう日本酒飲んでるから日本酒持っていこう」
などと実にせかせかとするのだ。
高知の『返杯文化』を存分に味わうしんどい2時間である。
コロナ禍で飲み会が開かれなくなってる間は、もうこのまま飲み会帰ってこなくてもいいかなってちょっと思うくらい。
だが、そんな飲み会も3年も開かれないと懐かしくなってくる。
僕は少しだけ楽しみにしていたのだ。
そして当日。
以前は5000円だった会費も今回は6500円。
時代の移り変わりを感じる。
会場に着くと、よく知った顔や久しぶりに会う方など、総勢で100近い人が来ていた。
みな一様に照れ臭いような緊張してるようななんとも言えない顔をしている。
きっとみんなも僕と同じような気持ちなのだろう。
さて飲み会が始まる。
堅苦しい挨拶も戻ってきた。
円卓に座ってじっと待つ。
「それでは乾杯の挨拶を・・・」
司会のこの一言で、ホテルのスタッフが一斉にそれぞれのテーブルにお酒を運び始める。
準備は万端。
会場の空気もどこか高揚していってるのが分かる。
「それでは、乾杯!!」
この発声とともに近くの人々とグラスを合わせる。
最初のビールをグッと飲み干す。
美味い。
そうだ。
酒は美味しいんだ。
飲み会だって嫌な思い出ばかりではない。
こうやって美味しいお酒が飲めるじゃないか。
そう思い、周りを見回すと、全体の3分の2くらいの人が
乾杯と同時に瓶ビールとグラスを持って動き始めていた。
久しぶりの大きな飲み会にテンションが上がったのか、飲み会の仕方を忘れたのかは分からない。
目の前の料理には一切見向きもせず動き始めるサラリーマンたち。
あいさつに動き回る人はもちろん、あいさつに来られる人もゆっくり食事など出来ない。
結果的に飲み会が終わった後にはものすごい量の料理が残っていた。
全く。
いつだって会えるし、定期的に仕事で顔を合わせる者同士で何をやってるんだ。
そら、あいさつは大事だし、そういったつながりを無視していては仕事をするにも厳しい業界ではある。
もちろん分かる。
そういう慣習の全てを否定はしない。
飲み会でつながりを作るっていう考えも全然分かるし、そのために上の人にお酌をしに行って顔を覚えてもらうってのも分かる。完全に肯定はしないまでも否定はしない。
だからといってゆっくり食事も出来ないなんてやり方はバカバカしい。
フードロスってのはこういうとこから改善するべきだと強く感じた。
飲み会最初の30分間はゆっくり食事をする時間として、席を立ったり返杯するのを禁止する法律が出来ることを願っている。
僕は地球に優しい人間なんだ。
フードロスには厳しくメスをいれるよ。
ちなみにこの日僕が口にしたのは豚カツ3切れと餃子2個です。(FU〇K)
誰よりもかいがいしく動き回って挨拶してました。すみません。
この社畜根性を捨てるために滝にでも打たれてきます。