むらよし農園

面白いことが書ければと。

【深夜特急に憧れて⑧】~27時間のバス旅の終わり~

前回の話はこれ↓↓

 

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ツーブロック姉さんと接触

 

衝撃的なサービスエリアから出発し、30分後にまた乗り換えた。

さっきの休憩はなんだったんだ。

 

例のごとく、一緒に降りたメンバーについていく。

ここで、なんと僕らが目印にしていた『ツーブロック姉さん』が話しかけてきた。

 

僕らは、日本から来たことや、ベトナムを目指していることなどを話す。

ツーブロ姉さんは、香港在住の方で、これからヨーロッパを目指して旅をするそうだ。

すごく英語も上手で、表情豊かな姉さんは、僕らの2,3歳が上かなと思っていた。

ちょっと年上の国際感覚に優れたお姉さん。

 

 

これは何かあるかもしれない。(ない)

 

 

 

寝台バスロマンス

 

 

みんなで歩くこと数分。

新しいバスが見えてきた。

これまでよりも大きい。

 

中に入りびっくりした。

 

寝台である。

 

日本では何度も乗っている深夜バス。

それでも寝台タイプは初めて。一気にテンション上がった。

寝台バス

二段になっており、僕の席は下の段だった。

結構広く、普通に寝れそうである。

ほかの乗客も、どこかテンションが上がってるのか少しざわざわしている。

 

この席はカーテンを閉めることが出来るので、プライバシーもバッチリ。

 

走り始めて20分が経ったころ。

そこかしこで、

 

「シャッ!」

 

という音とともにカーテンが閉まっていく。

 

僕もそろそろ閉めようかとしていると、少し前の席のツーブロック姉さんと目が合った。

姉さんはニコっとしながら、小さく手を振ってくれた。

 

僕は思った。

 

 

何かあるかもしれない。(ない)

 

 

僕は姉さんがカーテンを閉めるのを見届けた後も、しばらく姉さんのカーテンを眺め続けた。

 

それから中国語のアナウンスが流れた後、車内の照明が消えた。

 

 

 

寝台バスロマンス2

 

 

車内の照明が落ちたので、僕もカーテンを閉めようとしていると、1人の女性が上の段から降りてきた。

 

そして、そのまま隣の寝台の席に潜り込んでいった。

 

えっ?

 

間違いなくそこは別の男性の席である。

 

そんな、まさかそんなことが。

 

僕は予想外のロマンスを目の当たりにし、ドキドキが止まらなくなった。

 

こ、これはあるぞ。

 

ツーブロック姉さんの来訪あるぞ。(ない)

 

 

それからほどなくしてバスが停車した。

 

まさか乗り換え?

そんなはずはないよな。

照明は消えたままなので、おそらく運転手交代とかなんか時間調整だろう。

 

そう思っていると、

 

コツコツコツコツ

 

 

と、誰かの歩く音が聞こえる。

 

え?マジ?

 

ツーブロ姉さん来た?

 

めちゃめちゃドキドキしていると、僕の二つ前の席で止まり、カーテンが開けられた。

 

そこは、僕の上の席の女性が忍び込んだ席だった。

 

カーテンが開くや否や、どデカイ怒声が聞こえてきた。

中国語なので何言ってるかは分からないが、多分だけど、

 

「お前ら消灯時間過ぎてるぞ!早く自分の部屋に戻れ!」

 

という修学旅行での見回り先生のようなことだろう。

 

僕の上の席に女性が戻ってきた音を聞きながら、僕は目を閉じた。

 

 

 

南寧到着

 

 

目を覚ますと、そこは明るくなっており、バスはそこそこな都会を走っていた。

どうやら南寧に入っているらしい。

 

大きなバスターミナルに到着し、僕らは降りた。

香港を出発してから17時間が経過していた。

 

めちゃめちゃ疲れたけどなんだか楽しかったな。

 

とりあえず朝食を食べようと思い、ケンタッキーに入る。

もう現地のご飯しか食べないというルールは頭から消え去っていた。

 

ツーブロック姉さんと、もう一人の中国人バックパッカーの方と一緒に食べた。

旅の途中で知り合った人たちと、初めて来た場所でケンタッキー食べてる。

その事実に、改めて旅してる実感が湧いてきた。

 

ツーブロ姉さんはすごくよく笑い、ハキハキした人だった。

 

あれ?気のせいか?

 

さっきよりかわいく見えるな・・・

 

 

 

ハノイ行くか?

 

南寧に到着した後のことは何も考えてなかった。

しばらく滞在してもいいかと思っていたが、みんなはこのまま、ベトナムのハノイに向かうというのを聞いて、まぁそれでもいいかと思った。

 

特に予定もないので、みんなとベトナム行くことにした。

 

なによりもツーブロ姉さんがいるしな。

 

ハノイ行きのバスは、昼前に出るとのことなので、それまで駅に座ってみんなでお喋りしていた。

みんな英語上手だな。

僕は何でもっと話せないんだろう。

 

僕はもっと面白い人間なんだけどな。

もっと会話も回せるはずなんだけどな。

英語力がないせいで、丁寧な言葉で、ただ真面目な言葉を吐き出すだけの男になってしまう。

 

もっと英語勉強したいな。

 

ずっとそう思っていた。

 

そんな僕の拙い英語力でも聞き取れたことは、2,3歳上だと思っていたツーブロック姉さんは40歳だったということ。

そして、結婚していて、二人の子どもがいるということ。

 

英語なんて理解できなければよかったな。

 

 

ハノイ到着

 

バスに乗り込み、当たり前のように何度も乗り換えながら国境を越えた。

徒歩国境

ベトナムに入ると、急にマイクロバスみたいなやつに乗せられた。

当然全員は乗れないので、何台かに分かれて乗る。

ここでツーブロック姉さんとは別のバスになった。

また後でね的な感じでお別れしたが、その後会うことはなかった。

 

目的地が違ったのか、なんかで時間がズレたかは分からないが、ハノイについても他のバスを見つけれなかった。

 

ありがとう。楽しかったよ。

 

時間は20時を過ぎている。

香港を出てから27時間以上が経っていた。

長かったようで短かったな。

 

さて、ベトナムか。

 

まずは宿でも探そう。

 

つづく