むらよし農園

面白いことが書ければと。

【深夜特急に憧れて⑩】~ホーチミンへ~

前回の話はこれ↓↓

 

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ホアンキエム湖早朝散歩

昨夜の疲れから、遅くまで寝るかと思いきや、7時前に目が覚めた。

タッチーさんも起きていたので、二人でホアンキエム湖を散歩しに行った。

キッシーさんは一生寝てた。

ホアンキエム湖は、観光地としても有名で、様々な歴史的な建造物やオブジェがある。

観光客だけでなく、地元民にも愛されており、湖畔沿いにはジョギングをする人や散歩する人など、多くの人で賑わっている。

 

 

モテキ

30分ほど散歩していたのだが、とても不思議なことに多くのベトナム人に声をかけられた。

ベトナムが親日な国であるというのはなんとなく知っていたが、こんなに声をかけられるとは思っていなかった。

しかも、声をかけてくるそのほとんどが女性からだ。

 

こんなにモテたことはこれまでの人生で初めてである。

 

若い女子学生に取り囲まれ、一緒に写真を撮ってほしいとお願いされた。

夢か、詐欺かどっちかだと思いながらOKすると、女子学生たちは嬌声をあげて喜んでくれた。

そして数人の女子学生に囲まれて写真を撮る。

両隣の女子が腕を絡めてくる。

 

僕は移住を決意した。

 

写真を撮り終えた後も、女子学生たちは嬉しそうにお礼を言って、何度も手を振り去っていった。

 

ちなみにベトナム人女性は、日本人に似ている人も多い。

そしてみなスタイルがすごくいい。

まぁなんというか、すごくいい。

 

 

湖畔で朝食を

しばし歩いた後、湖沿いのお洒落なカフェで朝食をとることにした。

おそらく観光客をターゲットにしたカフェで、客も僕ら以外は全員セレブ感漂う欧米人。メニューもネイティブ料理は一切ない。

これは僕の旅ルールには反するが、この時はそんなこと考えれなかった。

さっきの経験を引きずる僕らは、俳優のように気取りながらテラス席を希望した。

湖を眺められるテラス席でコーヒーを飲みながら、僕ら二人は先ほどのモテキを思い出していた。

日本に住んでいてあんな経験をしたことはない。

まるでアイドルになったんじゃないかと思うほど。

タッチーさんはイケメンだとして僕はおそらくそうじゃない。

夢だったんじゃないか。

いや、僕の腕に残るあのぬくもりは夢なんかではない。

 

念のため、二人とも

 

『ベトナム 移住』と検索をしていた。

 

 

ハノイとの別れ

最高のスタートを切ったハノイでの旅も、たった2日で終わりを迎える。

僕はハノイからゆっくりホーチミンに向かう予定だった。

そして、ホーチミンに住む後輩の家にしばらく泊めてもらうつもりでいた。

しかし、その後輩がもう少ししたら、日本に一時帰国しないといけなくなったとの連絡が来た。

つまり、後輩の家に泊まるためにはすぐにホーチミンへ行かなければならない。

 

僕は悩んだ。

まだハノイをほとんど見れてないなか、ホーチミンへ行ってもいいのだろうか。

それに、ここで僕がホーチミンに行くということは、タッチーさんとキッシーさんと別れることになる。

もちろん、もともとは別々の旅をしていたわけなので、当然ではあるが。

 

僕は翌日にホーチミンに向かうことにした。

ハノイに2泊しかできなかったことは残念だし、タッチーさんたちと別れるのは寂しいが仕方ない。

 

後輩の家にタダで泊まれるチャンスを逃すわけにはいかない。

 

 

また、どこかで

ホーチミンに行くと決めて、急いで飛行機を調べた。

前日にチケットとるとなると、一体いくらかかってしまうんだとビクビクしていた。

しかし、その心配は杞憂に終わる。

翌日の朝の便のホーチミン行き。

 

約6千円だった。

 

そんなことある?

ホント?

どうやら、東南アジアの国内線はとても安いらしく、だいたいこのくらいの金額で行けちゃうとのこと(2013年当時)

 

ネットでの決済を終えた僕は、ゆっくり眠りについた。

 

翌朝、二人に見送られて空港へ向かう。

 

「また、どこかで会おう」

 

そんなドラマのようなセリフを言い合って、がっしりと握手をして二人と別れた。

旅してればまたどこかで会えるはず。

 

 

初の海外国内線

空港に着いてから僕は緊張していた。

決済は完了していたが、手元にチケットはない。

ベトナム語は話せない。

知り合いはいない。

不安しかない。

 

スマホの決済完了の画面をじっと見つめながら出発ゲートらしき場所を探す。

どうやらホーチミン行きのゲートを見つけて、そこで時間まで待機する。

念のため係員にも、画面を見せて聞いてみる。

 

「これ払えてる?これでホーチミン行ける?ここで待ってて正解?」

 

なんとか英語で聞いてみるが、係員は英語をあまり理解できておらず、自信なさげに、

 

 

「大丈夫」

 

と言ってくれた。

 

僕の不安は増しただけだ。

 

そして出発の時間が迫り、ホーチミン行きの搭乗が始まった。

みんなが並ぶ列に行く。

僕以外のみんなは、紙のチケットを持っていた。

 

あれ?

これやらかしてる?

 

僕の番が来て、僕はおずおずと画面を見せる。

 

案の定、係員は困った顔をして、少し待っててくれと言い、僕の後ろの客の相手をし始めた。

 

僕以外の全員が搭乗手続きを終えると、出発予定時刻まであと10分になっていた。

僕はもうダメだと思った。

 

そこから係員2人に囲まれて、なにやらよく分からないやり取りを20分ほどして、なんとか飛行機に乗れた。

 

僕のせいで出発を後らせてしまった申し訳なさはあったが、そんなことよりも、1人で海外の国内線に乗れた達成感の方が大きく、ドヤ顔での搭乗となった。

周りの人はさぞ腹が立っただろう。

ごめんなさい。

 

さぁホーチミンだ。

 

つづく