欲しい。
少々のことではびくともしない強い体が。
欲しい。
何事にも動じない、しなやかなメンタルが。
欲しい。
疲れを吹き飛ばす圧倒的なパワーが。
そんな自分の欲求に素直に従った僕は、高知県は四万十町に来ていた。
友人を誘い、ガッツリした昼食を食べに、車で1時間かけてやってきた。
お店の名は『味覚』という。
なかなかに食わせると評判のお店だ。
飲み会からゴルフから飲み会と、体が疲れている。
ちょっとエナジーチャージさせてもらいます。
僕がネットで見たのは、ゴリゴリに盛られた十勝タイプの豚丼だ。
それが食べたくてこの店に来たのだが、どれがそのメニューか分からない。
とりあえず『豚丼 ローストガーリック』というものを注文してみた。
他にそれらしいネーミングのものはなかったので多分大丈夫。また、「売れてます」という一言が添えられていたので間違いないだろう。
注文したものを待っていると、隣のテーブルに僕がネットで見た丼が運ばれてきた。
凄いボリュームで半端なく美味しそう。
楽しみだな~と思っていると、隣のテーブルに丼を置いた店員が
「『四万十でガッツリ!!』お待たせしました~」
とよく分からないことを言っていた。
四万十でガッツリ???なんだそのネーミングは。
名前なのか?
それともガッツリ食べてねというエールのつもりで言ってるのか?
メニュー表を見てみる。
そこにはしっかりと『四万十でガッツリ!!』というメニューが書かれており、それが、僕が食べたかったメニューであることが分かった。
僕は何を見ていたのか。
ちゃんと調べとけよな~
ここまで来てそれはないよ~
まさかのメニュー間違いをした僕はショックを隠し切れず、食べる前からガッカリしていた。
そこに僕の頼んだ『豚丼 ローストガーリック』が運ばれてきた。
こ、これは・・・
落胆した僕の気持ちをそそり立たせる最高のビジュアルの丼があった。
これは『四万十でガッツリ!!』にも負けてないどころか、勝ってるんじゃないか・・・
この高さを見てほしい。
ゴリゴリに盛られており、ご飯なんかチラッとも見えない。
これは逆に裏切られたな~
友人の頼んだ唐揚げ定食もなかなかのもの。
さぁ食べようか。
豚を豪快に頬張る。
思っていたよりもずっと柔らかい。
味もしっかりだが、くどくない。うむ、美味い。
いや、かなり美味いんじゃないか。
ニンニクのパンチはあるも、食べやすくてちょうどいい。肉も多くて食べ応えガッシリ。
ご飯もぎっしりと詰まっていてかなりボリューム。
こっちで正解だったな。
そして・・・
何故か『やきめし』まで追加してしまうハプニングも。
わんぱく高校生のような僕らにとって、こんなもん余裕だと思って頼んだけど、それぞれのメニューのボリュームがすごくて最終的に押し付けあうことに。
やきめしは少々オイリーな昔ながらの焼きめしだった。
全てを完食した僕らはしばらく動けなかった。
パワーをチャージしに行ったのに、パワーを全て使い果たしての完食である。
世の中にはどうやら『腹八分』という言葉があるらしい。
十分をMAXとして、食べ過ぎず、それより二割減らした腹具合がちょうどいいという意味である。
そこで僕に聞いてみてほしい。
「今、腹何分目?」
「15です」
おわり