むらよし農園

面白いことが書ければと。

深夜徘徊という遊び

今週のお題「何して遊んだ?」

 

僕がまだ学生のようなフリーターのようなニートのような時代の話。

 

金がないのはもちろん。

アルバイトとアルバイトとたまの学校のせいで時間もない。

もちろんそんな状況なので趣味もない。

 

当時ほぼ毎日、足しげく通っていたパチスロはもはや仕事なので趣味ではない。

 

そんな僕にも一つだけ趣味というか楽しみがあった。

 

 

それが深夜徘徊である。

 

 

勘違いしてほしくないのは、なにも怪しいことをしようとかよからぬ目的で徘徊していたわけではない。

 

ただ単に夜中に一人で散歩し、色々と考えるのが好きだった。

 

深夜徘徊が行われるのは主に春から秋の3シーズン。

 

 

夜も12時を回った深夜、冷蔵庫からおもむろにビールを取り出したら深夜徘徊スタートだ。

 

 

玄関の扉を開けると、ムンとしたぬるい湿度が体を包む。

 

「プシュ」

 

冷たいビールをあけてその缶の冷たさを顔に当てて味わい、グイっと一口。

 

 

「キンキンに冷えてやがる」

 

思わずカイジになってしまう。



 

そのままビールを飲みながら河原沿いをぼーっと歩くだけ。

 

途中タバコに火をつけ、真っ暗な夜空に体に悪い煙を吐き出し、口に残る苦みをビールで流す。

あの時はクールマイルドだったっけ。

 

折り返し地点のコンビニまで歩いたらビールをもう一本買って、帰りながら飲み始める。

 

 

その当時は自分の人生について莫大な不安を抱えていた。(今も)

 

大学は留年し、卒業のめどは立たない。それどころか学費を稼ぐためのアルバイトに生活を圧迫され授業に行くことすらままならないという悪循環のピークにいた。

当たり前だが就活なんてしていない。

毎日アルバイトかパチスロかその両方。

そんな生活に不安を抱えつつも、しばらくは抜け出せないだろうなという諦めにも似た感情を持っていた。

 

そのせいか、歩きながら悶々と色んなことを考える。

 

自分はこのままどうなっていくんだろう。

このままでホントにいいのかな。

 

考えがまとまらなく、家に帰ってビールの空き缶を置いてもう一度コンビニまで歩いたことも一度や二度じゃない。

 

そしてその道中に職質を受けたことも一度や二度ではない。

 

毎日毎日河原沿いを歩くのが日課になっていった。

 

先輩がよく付き合ってくれて、一緒に人生の作戦会議をした。

 

1時、2時、ときには3時まで深夜徘徊。

 

翌日のアルバイトは死んだように働いてたな。

 

そんなしんどいのになんで深夜徘徊をやめなかったのかは自分でもよく分からない。

それに今でもふと思い立って、ビールを片手に外に出てしまう瞬間がある。

 

ぐるぐる思考を巡らせながら歩く。そんな日がまだ僕には必要なのかもしれない。

 

 

今晩のようにね。

 

 

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