GWの終わり際。
高知での最高の休日を紹介した。
その際に、初めて訪れた銭湯があまりにも最高だったので紹介したい。
達成したい目標
僕は今年の目標の一つに、『高知の温泉、銭湯に全部行く』というものがある。
その目標達成のための一歩としてまずは市内の銭湯から制覇している。
その目標達成の一環として今回は初めて『土佐温泉』なる銭湯を訪れた。
高知の旧国名である『土佐』の名を冠するこの銭湯。
恥ずかしながら名前を知ったのは昨年である。
ネットでの情報はほとんどない。
場所と営業時間がかろうじて分かる。
これは行ってみなければなるまい。
場所は高知市百石町
地図を見る限り完全なる住宅街だし、何度か近くを通ったことがある。(マルハン行くために)
しかし銭湯のありそうな雰囲気はなかったけどな・・・
まぁ行ってみよう。
土佐温泉のおもてなし
土佐温泉に着いたのは14時45分。
開店の15分前に着いたが、扉は閉まっており暖簾も出ていない。
何より場所が住宅街すぎて変な感じだ。
近くの公園で時間を潰し、15時2分に再度向かう。
まず『土佐温泉』と書かれた看板に注目してほしい。
何とも言えないドープな書体をしている。
建物自体もかなり古く、昭和の匂いを醸していた。
この銭湯、かなり出来るぞ。
中に入ると番台さんが出迎えてくれる。
番台を中心に、右側が男湯左側が女湯というオーソドックスな作り。
料金は400円。
番台のおばちゃんが
「石鹸持ってる?」と聞いてくる。
僕はシャンプーなら持って来てると答えた。
するとニコニコしながら
「ほなこれあげる。ちゃんと泡もたつきね」と小さな石鹸をくれた。
コロナが始まり、人とのふれあいがガクンと減り、ハローもグッバイもサンキューもなくなった日本。
そんななか、こんな温かい人とのふれあいがまだ残ってたんだと僕はうれしくなった。
ロッカーは銭湯では珍しいオフィス系ロッカー。
銭湯内には先客が三名いたが、誰もロッカーは使わずカゴに着替えを入れて、地面に置いていた。
僕はどうしようとキョロキョロしていると、おばちゃんが
「鍵はついてないけど私が見張っちょくき大丈夫よ」と言ってきた。
僕が鍵がないことに悩んでいると思ったのだろう。
僕は笑顔で「お願いします」と返しロッカーに荷物を入れた。
最高空間
中に入ると、どーんと富士山のタイル絵が。
風呂桶は『ケロリン』だし、昭和にタイムスリップしたようだ。
古いことは間違いないが、とてもきれいに掃除をされているようで、かなり清潔感がある。
そして先客の常連と思しきおじさん達は、椅子を使わずタイルに直で座って湯を浴びる『別府スタイル』だ。
これは実際そう呼ばれてるかは分からないが、僕が以前別府の銭湯に行った際みんなこうしていたことから僕が勝手に名付けただけなのであしからず。
僕もそれに倣い、椅子は使わない。
しかし、サウナマットを敷いてその上に座る『ネオ別府スタイル』だ。
湯の温度はちょうどよく熱くもぬるくもない。
オバちゃんにもらった石鹸で体を洗い、湯船にダイブした。
控えめに言っても最高。
マジで気持ちい。
少し深めの浴槽に全身を沈めたらもうなにもしない。
目をつぶって頭のなかを駆け巡る思考をぼんやりと眺めるだけ。
少し熱いなとなったら水風呂へダイブだ。
水風呂はキンキンではないが、サウナ後ではないので無問題。
熱い湯と水風呂に交互に入ることで徐々に整ってくる。
プロの仕業だと思わないかい?
40分ほど楽しんだらサクッと出てしまおう。
常連さんたちはみんな上がっていた。
カッコいい常連
どこの銭湯にも常連のおじいちゃんがたくさんいるものだ。
そしてどの銭湯の常連じいちゃんもめちゃめちゃ長く滞在する。
しかし土佐温泉の常連さんたちはみな30分ほどでサクッと出ていく。
昼の時間だからかもしれないが、これが妙にかっこよく、この銭湯の良さにブーストをかけていた。
しかも二人の常連さんは、着替えもそこそこに上半身裸で
背中にパチンとタオルをかけただけのスタイルで帰っていった。
きっと近所の方だろうが、嫉妬するくらい様になっていた。
いつかは僕も・・・
結論、最高にドープ
あがってから着替えを済ませ、番台さんに話しかけてみた。
気さくに話してくれた内容を紹介すると、この銭湯は創業60年以上経ってるとのこと。
タイルに描かれた富士山はペンキ絵ではなく、焼き付けてあるものだそうだ。そのため、非常に高額で創業当時は大変だったらしい。
しかし、60年以上経った今も美しい色合いは褪せることなく、この富士山を見るためにわざわざ県外からくるお客さんもいるとか。
60年以上前に湯に浸かっていた人と同じ景色を今見てると思うと感慨深い。
また、お客さんがいないのをいいことに、浴室の写真を撮る許可を求めたところ、快く許してくれた。なんという懐の深い人だ。
最初から最後まで全てが心地よい。
いいお湯だった。
お礼を言って土佐温泉を後にする。
好事家を志す者としてこのような名湯を知らなかったのは汗顔の至りである。
しかしながら、高知に住んで14年目。
そこそこに感度のいいアンテナを張って生きてきたはずだ。
それなのにその存在すら知らなかった。
もしかしたら誰も知らないのかもしれない。
知る人ぞ知るとはこういうこと。
知る側の人間になれたことを誇ろう。
さぁ僕の人生にまた一つ素敵な場所が加わった。
昼酒の前にひとっ風呂なんてときに最適。
また行きたい。いやきっとすぐ行く。
土佐温泉
営業時間:15時~20時
定休日:日曜日
住所:高知市百石町4丁目12-25