早朝から昨夜の残りを食べる。
胃もたれしまくってる胃に、その胃もたれの原因となった『かつや盛り』の残党を詰め込む。
自分に厳しい男の朝のはじまり。
今日頑張れば休みだ。
今日頑張れば・・・(頑張りたくない)
頑張りすぎた結果22時前に仕事を終えた。
最後まで残ってた同僚と、仕事終わりの一杯を求めて『竹葉』へ。
定休日。
仕事終わりのささやかな楽しみを奪われた我々は無言で近くをさまよう。
そういえば近くに小さいがリーズナブルで使い勝手のいい焼肉屋があったな。
そこに行こう。
定休日。
もうダメか。
半ば諦めかけて辺りを見回してみる。
一軒の怪しい光を見つけた。
普通ならば踏み入るのに勇気がいる外観。
こんな場所にこんなお店があったなんて。
大人になると、意識せずとも『守り』に入りがちである。
朝に、昼に、夜に。
食べるお店は、行き慣れた店ばかり。
美味しいと分かってるお店ばかり。
新しく出来たお店や、新しく見つけたお店には自然と足が遠くなっている。
だが、そうやって自分のホームグラウンドでばかり過ごすのはちと早い気がする。
好事家を名乗る以上、新しいものにチャレンジするマインドは常に持っていないと。
ということで入ってみることに。
お店の名は『しらき』。怪しさとポップさが混じる外観。
初見で暖簾をくぐるには勇気がいる。
奥に長いつくり、ほとんどがカウンターで2人用のテーブル席が2つ、満席でも10人ちょっとか。
常連さんをかき分けて、カウンター席の奥の端へ着席。
本がたくさん置いてあるし、読書しながらお酒を飲んでる人もいる。
メニューとおしぼりが届く。
瓶ビールを貰おう。
瓶は2種類。
「クラシックラガー」か「サッポロラガービール」のどちらかを選べる。
普通はアサヒかキリンかの2択が多い中このチョイスは信頼できる。
僕はこの店が一発で気に入ってしまった。
サッポロラガービール、通称赤星をもらって乾杯。
今週も激闘に次ぐ激闘だった。
しかしそんな悲壮感は見せちゃダメ。
気持ちよくビールをあおって疲労を流したい。
赤星の苦みとのど越しが僕の頑張りを癒してくれた。
2杯ほど飲んだら次は黒ビールいこう。
『東京ブラック』という黒ビール。
グラスから漂う香りにやられ、コーヒーのような苦みと甘みにやられ、喉を通り抜ける心地よさにやられた。
ゆっくりと味わいながら穏やかな時間を過ごす。
がぶがぶ飲むのはもうやめた。
楽しく美味しくゆっくり飲むんだ。
いつもはこっから焼酎だウィスキーだジンだなんだといってしまうが、今日はもう〆よう。最後の一杯は、お店が激推しするモヒートをいただこう。
注文すると、お姉さんはお店の外に消えた。
しばらくして戻ってくると手にはこんもりとミントが。
自家製の採れたてフレッシュなミントを使ったモヒートは、作ってる段階でとてつもなくいい香りを店中に振りまいた。
美味しくないわけがない。
爽やかに、軽やかに、これからの季節にぴったりな1杯だ。
大満足でお店を後にする。
2軒目もなし。
帰りにコンビニでホットコーヒーを買って家路につく。
飲みすぎてない。
気持ち悪くない。
心地よい疲労感に包まれ就寝。
必ずまた行こう。
勇気を出してよかった。
いつだって一歩踏み出さないと新しい道は拓けない。
ゴールデンウィークはそんな気持ちで過ごしていこう。