「大人様ランチひとつ」
またも僕は車内で繰り返す。
恥ずかしがらずにしっかりと言おう。
今回こそはしっかり言えますように。
言うまでもなく大人様ランチは大人のお子様ランチである。
いい歳したおじさんが頼むのには少し躊躇するネーミング。
それでも頼まなければいけない。
なぜならかつやの期間限定は全部食べなければならないから。
実は先日もこの『大人様ランチ』を食べに行った、しかしまさかの完売により食べることが出来なかった。
発音練習までしてたのに。
少々残念だったが、こんな変なメニューを頼むおじさんがたくさんいることに少しうれしくなった。(かつやの客はおじさんだけではない)
入店前に入口の看板を見る。
どうやら今日は完売はしていないようだ。
席について呼吸を整える。
(大人様ランチひとつください)
心の中で復唱する。
よし、なんとかいけそうだ。
店員さんが来る。
珍しく若くてかわいらしい女性だ。
「ご注文お決まりでしたらお伺いします。(ニコッ)」
「あっ、ええ、えっと、こっこれください(メニュー指さしー)」
くそ!あんなに練習したのに!
いつものおばちゃんどこ行ったんだよ。
笑顔で接客してくんなよ照れるだろありがとう。
待つこと10分、『大人様ランチ』が到着。
非常にそそるこのビジュアル。
赤ウィンナーまでもが衣を纏って揚げられているところが最高に頭悪い。
だが、それがいい。
エビフライにチキンカツがタルタルでパワーアップ。
オムカレーは安定の美味しさ。
つまり美味しい。
これまでの期間限定のなかでも屈指の食べやすさだ。
やはりカレーの存在は偉大だ。
しかもオムカレーにしている辺りさすがだ。
飲み込むようにして食べ進める。
途中から衣の爆弾がじわじわとボディを叩いてきたが、カレーの前では大した問題ではない。
余力を残して完食した。
あーこれはありだったな。
なんだろう。これまでの頭悪すぎ期間限定商品たちに比べると、ボリュームの面でも頭の悪さでも大して強くない。
上の二つの凶悪さは異常だが。
ボリュームや癖の強さを追い求めすぎてた僕に優しく諭してくれた。
「ホンマはこんなん食べたかったんやろ?」
その通りです。
子どもにかえって、こんなんが食べたかったんです。
ありがとうかつや。
たまにはやるやんか。
会計時にいつも通り、次回使える100円引き券をもらった。
なんとそこには次の期間限定商品が紹介されていた。
これはまた楽しみだな。(楽しみじゃない)
今年は全部食う。
5月終わり際にギリ滑り込んだことで何とかこの目標は継続。
次の商品は早めに倒しておこうかな。