6時起床。
昨夜の痛飲からたったの5時間。
嫌だぁぁぉぁぁぁぉぁぁ!!!!!
行きたくないいぃぃぃぃ!!!
しゅごい無理ィィィィ!!
そう叫ばずにはいられないほどの疲労感だった。
しかし今日はコンペである。
行かないわけにはいかない。
先輩の車に乗り込み会場へ向かう。
道中もずっと気持ち悪かった。
しかしゴルフ場に着くと、快晴の青い空の下、春の芝生に生え替わった美しい緑が気分をあげてくれる。
8時半スタート。
見知った顔のメンバーに、今日がコースデビューの方がいた。
この人が今後、ゴルフを続けるのか、今日を最後にクラブを置いてしまうのかは僕たち三人のアテンドにかかっている。
三人で、「今日は自分達のスコアなんて二の次だ。快適にプレー出来るように黒子となって働こう」と決意した。
ほのぼのとした雰囲気のなかいい感じにラウンドは進む。僕もすっかり元気を取り戻していた。
取り戻しすぎだろ。
真っ青な空の下飲むビールは格別だった。
無事ハーフを終えて昼食。
休憩が一時間を超すともはや宴会である。
朝方のあの気持ち悪さをどこに置いてきたのか、ビールを2杯も飲んでしまった。
後半もキャディさんのように走り回り、自分のスコアも上々だったので、大満足でラウンドを終えた。
ラウンドを終えて、着替えて帰る準備をしていると、今回のコンペの主催者から、
「今晩の打ち上げ18時からやきね。」
僕は先日、打ち上げには参加しない旨を伝えていた。
「すみません。今日はちょっと行けないんで…」
当たり前だ。
残業続きで飲み会まで続いてしまったら僕は月曜日から働けなくなってしまう。
「そうか~今日は◯◯さんも来るんだけど残念やな~」
そう言ってホントに残念そうに去っていった。
◯◯さんというのは今日一緒に回ったコースデビューを果たした人である。
飲み会も出るなんてアグレッシブな人だな。
そう思いながら帰る準備を進める。
ふと考える。
今日一緒に回った他のメンバーは飲み会に行くのかな?コースデビューの新人さん以外に誰か行くのだろうか。
少し気になり、主催者に聞きに行く。
「今日は誰が飲み会に来るんです?」
主催者から名簿をもらって名前を見る。
一緒に回ったメンバーで参加してるのは、新人君だけだった。
僕を含めた他三人は参加しない。
帰りの車に乗り込んだあとも考えていた。
初めてのゴルフ。初めてコースデビュー。そんな記念すべき日の打ち上げで、誰も自分のプレーを振り返る同伴者がいないのは寂しいんじゃないだろうか。
こんなプレーあったね。あんなプレーもあったね。
何番ホールのドライバーよかったね。
そんな話をしてあげるべきなのではないか。
みんなの前で、同伴プレーヤーである僕が彼の奮闘ぶりを伝える必要があるんではないか。
今日は大叩きをして、とても疲れたであろう彼を励ますのが同伴プレーヤーの役目なのではないか。
僕が今日彼のプレーをフォローしてあげなければ彼はもう引退するかもしれない。
どんなに下手な自分に落胆していても、楽しいお酒でポジティブな思い出に変えてあげることができたら、またゴルフに来てくれるかもしれない…
「今晩、18時、行きます。」
気がついたら僕は主催者にメールを送っていた。
これは優しさとかそんなんじゃない。ゴルフデビューを果たした人の同伴者の義務だ。
タフボーイである僕に与えられた責務だ。
家に帰ったのは16時45分。
シャワー浴びて着替えて…
気絶していた。
何も出来ず気絶していた。
むくり起き上がろうとするも体は鉛のように重い。
体調は最悪。
熱こそないが、何かをするには無理なくらいの体調だった。
それでも気合いを入れて街に繰り出す。
お店に着くと、僕以外の同伴者二人ともが来ていた。
じゃあ僕行かんくてよかったやん。
一瞬そう思ったが、みんなデビューの彼のことが気になってたんだろう。
そのことが嬉しくなり、なんとか頑張って飲み会に挑んだ。
めちゃめちゃしんどかったのは最初の30分で、飲み進めるうちに元気を取り戻した。
でも分かってる。この元気は明日以降の自分からの前借り。
明日の自分に負債を残してるだけだ。
それでも楽しかった。
デビューの彼に聞いてみる。
「初めてのゴルフどうだった??」
「めちゃめちゃ楽しかったです。絶対また行きます。」
その言葉が聞けただけで僕は今日は満足だ。
気分よく退店。
うっかりラーメン食べてしまうハプニングもあったけど僕は大丈夫。
深夜の家系らーめんは悪魔のような美味しさ。
こたえられんね。
家に帰りつき倒れこむ。
脳内には北斗の拳の『TOUGH BOY』が流れていた。
Keep you burning 駆け抜けて…
駆け抜けたな~この数日間。
めちゃめちゃ体には悪いことした。
耐えてくれてありがとう。
僕はタフボーイだからなんとかなる。
今週も激闘やけど頑張ってくれ。