どんな場所でも、ルールやマナーを知っていないと損したり、周りに迷惑をかけることはよくある。
今回はゴルフにおける大事なマナーである、『プレイファスト』にまつわる話。
プレイファストとは、文字通り早くプレイすること。
ゴルフ場では、分単位でスタート時間が決められており、遅いプレーをすると後ろの組はもちろんゴルフ場にも迷惑がかかる。
それを避けるためにも、素早いプレー、素早い移動が求められる。
しかし、上手な人と、下手な人ではそもそも打つ数が違う。
上手な人が70~80球ほどでホールアウト出来るのに対し、下手な人は100球以上、なんなら120以上叩く人もいる。
そら時間に差が出るのは仕方がないのだ。
では、下手な人はどうすればいいのか。
『急ぐ』のである。
分かりやすく言うと『走る』のである。
打つときはしっかり集中して打つ。
打ち終われば次のボールの地点まで急ぐ。
そして、使用されると想定されるクラブを全て持っていくことも大事だ。
いちいちカートに取りに戻っていたんじゃ時間がかかりすぎる。
そして、自分が打ったボールがどこに飛んでいったのかを、自分はもちろん同伴者みんなで把握することも必要である。
そういう部分で、後ろの組に迷惑をかけないよう心がけることがゴルフ場でのマナーだと言われている。
先日、同僚たちとラウンドしたときのこと。
ゴルフ場に向かう道中で、上に書いたようなことをみんなで話していた。
僕らは下手だ。
だからボールを打つ以外の動作は早くして、頑張ろうと。
余談だがその日は3人でのラウンド。
僕が97、後の二人は130と139である。そら急がないといけない。
僕らの後ろの組は、明らかにこのゴルフ場の常連のような老夫婦2人である。
上手な人が後ろの時点でプレッシャーなのに、2人かよ。
僕らは誓った。
「絶対に急いでいるという姿勢は見せ続けよう」
そして始まったラウンド。
案の定、僕と回った二人は右へいったり左へ行ったりと大忙し。
後ろの組はとても上手で僕らがホールアウトするのをじっと待っている。
そんなプレッシャーを感じながらの3ホール目。
僕らがショートホールで前の組が終わるのを待っているときのこと。
後ろの組の老夫婦に声をかけられた。
絶対に怒られる。
誰もがそう思った。
しかし、老夫婦は
「若いんだから、少しくらいボールがあっちゃこっちゃいってもいいよ!そんなに急いで慌てなくてもいいんだよ。僕らはゆっくりのんびり回るつもりだから、君たちももっとのんびりとゆとりを持って回りや。」
そう言ってくれた。
僕ら3人は大声で「ありがとうございます」と叫んだ。
とてもうれしかった。
昔、僕がもっともっと下手で、デビューしたての頃、後ろの組のおじさんに怒鳴られたことがあった。
そのことが強烈に残っていたのですごく感激した。
こんなこと言ってくれる紳士がいたのか。
そう思うのと同時に、こんなことを言ってくれる人に対して、急いだプレーを見せ続けることが出来てよかったとも思った。
ダラダラとしたプレーをしてたらこんなこと言ってもらえなかっただろう。
自分らのプレイファスト精神を自分たちで褒めた。
ゴルフは紳士のスポーツである。
僕もあんなこと言えるようなゴルファーになりたい。
ていうか、いい加減上手くなって、走り回ることなくプレー出来るようになりたい。