寝るかと思って目を閉じた。
2秒後には朝が来ていた。
昨夜は天一から帰ってきて、12時半にお風呂を出て布団に入ったはず。
2秒しか目をつぶってないのに時計は6時を指している。
朝が時間を間違ってやってきたとしか思えない。
勘弁してくれよ。
お腹もめちゃめちゃ重たいよ。
深夜の天一は33歳には荷が重かったみたいね。
ともあれ仕事に行く。
朝早い時間に外に出るのは嫌いじゃない。
朝だけどギリギリ朝じゃない。そんな時間は空気も綺麗で、景色も妙にキラキラしている。
いっちょやってみっかという気持ちにさせてくれるじゃないか。
気が付けば時計は20時45分。
さすがにこれ以上残るとダメージが大きい。
ここらで切り上げるか。
飯でも食って帰ろうという話になり、昨夜のような失敗は避けたいので少しヘルシーなのにしよう。
21時『かつや』到着。
学ばない大人たち。
今年最後の期間限定メニュー「黒胡麻坦々チキンカツ」を食べる。
あれ?
まさかの普通に美味しそうだし、相変わらずボリュームすごいけど常識の範囲内だ。
これまでいくつもの頭おかしいメニューを出してきたが、年末にやっと改心したんだろう。
そして味も普通に美味しい。
前回敗れた「親子チキンカツ丼」の時は一切れが40cm(体感)あったのに対し、今回は普通のサイズにカットされている。
味はとんでもなく濃いが全然あり。
余裕だこんなもん。
むしろ味が濃すぎてご飯足らんな。
「すいません。ご飯ください。」
僕の漢気に店員も完全にブルってた。
到着。
多分だけどおかわりのタイミング間違えてるよね。
おかずとご飯のバランス絶対に違うよね。
あと、ご飯出てくるまでの1分くらいの間にお腹いっぱいになってきたよね。
頼まなければよかった。
普通に最初から大盛りにしとけばよかった。
ほら。大盛りにしたことを後悔するよりも、大盛りにしなかった後悔の方がデカいでしょ?
それでもなんとか完食。
レンゲがついていたのはおそらく、黒胡麻坦々ソースをすくって食べてくださいという意味だと思うが、こんなに味の濃ゆいやつをすくって食べるなんて無理よ。
一口すくって食べるごとに人間として大事なものが一さじこぼれ落ちていくと思う。
なので3口くらいでやめておいた。
もう来年までいかない。
かつや今年もありがとう。来年もよろしくとは言えないけどよいお年を。
予感はある。
明日の朝のお腹の様子が手に取るように分かる。
きっとダンベルが入っているように重たいことだろう。
だけどいい。
大事なのは今を生きること。
21時50分。
自宅に到着。
わりかし元気だと思っていたが、座ったとたんにどドっと、ホントにドッと疲れがきた。しばし動けなかったが、根性でお風呂に入る。
洗濯もしなければと意地を見せる。
23時45分。
布団に潜り込む。
疲れていると心に刺さる音楽や映像を見てしまうことがある。
昨日はこんなのを見てしまった。
世代ど真ん中の「デジモンアドベンチャー」の主題歌を歌っていた和田光司さんのライブ映像だ。
苦しい闘病生活に耐えながら歌う彼の姿は今の僕には眩しすぎた。
2016年に亡くなったという事実を知っているからというわけではなく、この映像には彼の命を燃やさんとする熱い熱い気持ちがあふれていた。
かつやで食べ過ぎて気持ち悪くなったくらいで弱音を吐いてる場合じゃないぞ。
涙でぼやけた目をこすりながら1時まで動画を見てた。
明日も6時台に出勤だ。
自分で自分を追い込むスタイル。
悪くないだろう。