6時起床。
疲れをため込んだ体は簡単には起き上がらない。
のそのそと起き上がり自分に言い聞かせる。
分かった。やる。頑張る。
ハードな日程ながら頑張るのはボーナスがあるからだ。
まぁもらってしばらくすると跡形もなく消えて、来年こそは計画的に使うぞとなるんだけどね。
初めてボーナスをもらった日のことは鮮明に覚えている。
数年前、入社してすぐのこと。
僕は中途入社なので秋から今の会社で働き始めた。
まだフリーター時代の生活を引きずり、金の遣い方も荒く、毎日霞を食って暮らしていた。
そんなある日。
いつも通り仕事終わりにパチスロを打っていた。(クズ)
たしか『バイオハザード』だったと思う。
財布にはなけなしの3万円が入っていた。
給料日までその金で暮らさないといけないし、そのうちの1万は支払い用にとっておいたお金だ。
負けるわけにはいかない。
その気合もむなしく2時間後には財布は空になっていた。
しかし、チャンスゾーン中だったのでもう少しだけ続行しようとATMへと急ぐ。
たしか5千円くらい残っていたはずだ。
5千円を引き落とす。
無事に引き落とせたことに安堵して取引を終えようとしたとき。
視界の端に口座の残高が一瞬映った。
ん?
見たことのない場所に数字が書いていたけど・・・
急いで確認すると、
これまでの人生で一番の大金が入っていた。
全然大したことはないが、
普段口座に2桁しか入ってない僕はなんかのエラーだと思い、真剣に悩んだ。
一応引き落としのボタンを押す。
「30000円」
まさかな。なんかの間違いだろう。
下ろせた。
30000円が
下ろせた。
興奮を抑えきれずに、パチンコ屋へ走った。
この時点ではボーナスだと気付いていない。
何のお金かは分かっていない。
だけどバイオハザードに突っ込む。
打ちながら何のお金か考えていた。
ボーナスなのかな?
まだ働き始めて3か月なんやけどボーナスなんてもらえるん?
でもそんなこと誰も言ってなかったしな。
そう思っていたらパチスロがボーナスを連打し、マイナス3万5千円からプラスへと転じていた。
最終的にプラス7万円で終わった。
お金があるという余裕が勝たせてくれた。
やはりギャンブルはお金がある人が勝つように出来ているんだな。
そんな世の中の真理に近づいた瞬間だった。
その日の夜は一人パーティだった。
突発的に訪れたこの時のボーナスはこれまでもらったボーナスで一番うれしかった。
いまでは2か月くらい前から待ち遠しくて震えてるし、入っても諸々の支払いですぐなくなるしでもうあんまりうれしくない。
あの時の新鮮な気持ち、取り戻せるかな。
夜は吉野家で頑張った。
美味しかった。
ボーナス早くおいで。