久しぶりに日曜市行ってきた。
しばらく忙しい日々が続き、日曜日でもなんらかの用事が入ることが多かった。
そのせいで生きてなかった。
別に日曜市なんて行かなくたってスーパーで事足りるだろと思ってるそこのあなた。
その通りです。
だが、日曜市にしか売ってないものだってある。
僕にとって日曜市でしか買えないものが唐辛子である。
色んな唐辛子があるが、真ん中の真っ赤な小ぶりの唐辛子がお気に入りだ。
辛みが他のモノとは違う。
『花美さんの唐辛子』という名で売られている。
辛いだけでなく、素材の良さを引き立てる旨味がある。
この唐辛子を切らしてから1か月ほど日曜市に行けなかった。
そのせいで僕の食事にとって最も大事な『辛み』がない状態で日々を過ごしていたのだ。
そんな状態では気持ちは上がらない。
なんともモヤモヤした日々を過ごしてきた。
そんな日々も今日で終わり。
今日から僕には唐辛子がある。
そう安堵しながらフラフラと日曜市を歩いていた。
一か月前に来た時とは、陳列されてる野菜のラインナップが大幅に変わっていた。
毎日スーパーに通うだけではなかなか気づけない。
『旬』という概念を強烈に体感できるのも日曜市のいいところである。
この日並んでいたもので一番気になったのが、『甜瓜』というものである。
読み方は『マクワウリ』だ。
御存知の方もおられるだろうが、僕は高知に来るまで見たことはなかった。
ウリというくらいだから野菜なんだろうけど、どの店でも「甘い」という言葉を宣伝文句にしている。
果物なのか?
調べてみると、甜瓜はメロンの亜種であり、昔から日本人に親しまれてる果物だそうだ。
生産が容易で、値段も手ごろなことから、高級な西洋メロンの代用品のような扱いを受けていたこともあったという。
しかし、西洋メロンの品種改良が進み、値段も安価になっていくのに反比例して甜瓜は食卓から姿を消していったそうだ。
買うしかないだろ。
そんな面白いもの買うしかない。
僕は目についたお店でひとつ買ってみた。
「初めて買うんですけどどんな風に食べるのがいいですか?」
初心者らしく教えを乞う。
「もう熟して甘いき、うんと冷やして食べや」
非常に明朗な回答である。
おばちゃんは、甜瓜初体験の僕が気に入ったのか一つ、おまけで甜瓜の別品種をいただいた。
ほっこりした気持ちで日曜市を後に。
これまでの自分なら考えられない買い物だ。
見たことも聞いたこともない、野菜とも果物とも言えない変なものを買うようになるなんて。
テンションは上がる。
昼食後に早速甜瓜を食べてみた。
こんな感じの見た目で、
切ればこんな風で、
言われてみるとウリとしか言いようのない中身だ。
しかし、切った瞬間からものすごいメロンの香りが漂う。
完全にメロン。
どう考えてもメロンでしかない香りに僕も大興奮。
薄く固い皮をむいて食べやすいサイズにカット。
早速かじってみる。
結構シャキシャキというかサクサクとした歯ごたえ。
メロンとは違う。
そして味だが、メロンの香りを漂わせてはいるが甘さは多分10分の1程度。
メロンとは違う。
香りがメロン100%だっただけに、少し落差を感じてしまった。
美味しくないことはない。
暑い夏にぴったりで、清涼感のある味だ。
なのに・・・
僕はこれを何の前情報もなしで食後に出されたらきっと、
「初めて食べたけどなんかメロンっぽくて美味しいですね」
そう言っていたことだろう。
しかし、僕は要らん前情報を仕入れ、香りにごまかされ、勝手にメロンの影を重ねていたらしい。
失礼なことをした。
勝手に期待して勝手に落胆するなんて一番やっちゃいけないこと。
今度こそフラットな気持ちで食べるよ。
ごめんね甜瓜。
p.s. おばちゃんにもらったおまけの甜瓜は、見た目が完全に『スイカ』でした。
なんだこいつ。
今週のお題「夏野菜」