むらよし農園

面白いことが書ければと。

二枚目なんて

先日のこと

 

残業していて、もうそろそろ帰るか~という時に電話が鳴った。

 

それは、少しだけ穏やかじゃない内容。

会社のトラブルを予感させるパンチの効いた話だった。

 

まだ会社に残っていた社長に報告をし、必要なところに電話をかけ、仕事を終えた。

厄介なことになりそうな予感を残しつつも、これ以上会社にいても巻き込まれるだけだと思い帰宅する。

 

その後同僚と居酒屋で合流し、お酒を楽しんでいた。

 

 

21時過ぎ

 

携帯が鳴る。

 

見ただけで顔をしかめたくなるような相手からだった。

 

 

あーやっぱり悪い予感は当たるんだよな

 

 

電話に出て、しばらく話す。

うん、そうだよね。

 

電話を終えてすぐに社長に報告した。

 

なかなかダルいことになってますぜ。

 

 

社長は大分離れた場所での飲み会に参加しているため、戻れそうにないとのこと。

 

 

会社のセキュリティの鍵を持っていて、すぐに駆け付けれる場所にいて、使いっぱしるのに気を使わずにすむ手ごろな人材は・・・

 

 

僕しかいないか。

 

 

僕は、同僚にしばしの別れを告げてお店を後にした。

 

 

颯爽とタクシーを捕まえて会社へ向かう。

 

なんだかドラマの主人公のような気がしてきた。

 

会社のピンチを救うために駆け付けるヒーロー的な。

街の明かりを浴びながらタクシーに乗っている自分は、いつもより3倍かっこよく見える。

 

まるで二枚目になったようだ。

 

僕の容姿はひいき目に見て中の中である。

 

二枚目なんて言われることは一生ないと思っていた。

 

それがどうだ。

会社を助けるためにタクシーで夜の街を駆けるというシチュエーションが僕を二枚目にしてくれている(してない)

 

ほろ酔いなこともあってそんなことを考えながらタクシーに揺られ、会社に到着した。

 

諸々の緊急な連絡や、書類を作って一息つく。

 

かっこよくない?

 

今の自分ちょっとキテない?

 

思ったよりスムーズに仕事をこなせたことに満足し、会社の外に出てみた。

 

冷たい空気が心地いい。

 

やり遂げた男の顔をしながら深呼吸する。

タバコでもあればもっとかっこよかっただろう。

 

よし。

あと少しだけやって飲みに戻るか。

 

そう思い会社へ入ろうとして重大な事実に気付く。

 

 

 

 

 

 

 

インキ―してる

 

 

 

 

会社のセキュリティの鍵を

 

 

inキーしてる。

 

誰も見てないのにかっこつけて外でドヤ顔して

 

 

in keyしてる。

 

 

オートロックのドアによって外に締め出されてしまった僕は、途方に暮れた。

 

結局一番近くに住む上司に電話をして会社を開けてもらう羽目に。

 

 

とんだ三枚目がいたもんだよ。

 

いつだってそうだ。

僕は格好つけられないんだ。

 

いつだって決めるとこで外すんだ。

 

 

 

まぁそれが僕のかわいいところなんだけどね。

 

人生が変わる2枚目の名刺

人生が変わる2枚目の名刺

  • 作者:柳内啓司
  • クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
Amazon