むらよし農園

面白いことが書ければと。

一人飲みのすゝめ

残業終わりの20時半。

帰っていまから夕飯作るのはなんだかしんどいな。

 

それになんだか肌寒い。

少し寂しさを漂わせる風が吹いている。

夏の終わりの風はいつだって寂しい。

 

この時期はいつもそうだな。何でだろう。

無性に飲みに行きたくなる。

それも一人で。

 

一人で飲むことは嫌いではない。

むしろ好きだ。

でも最近はあまり行けてなかったな。3連休も外には出れなかったし、家でも飲まなかったもんな。

 

そう思い、街の外れの超人気店に向かった。

どうせ入れないしな。入れなかったら大人しく帰ろう。

 

そう思ってたのだが、入れてしまった。

 

店の名は『にこみちゃん』

高知でも屈指の人気を誇る居酒屋である。

そのうちきちんとお店を紹介したい。

 

カウンターの端が空いていたのでそこに座る。

ビールを注文し、壁のメニューを見る。

 

いくつか『ちょうどいい』のをチョイスした。

何が食べたいってのもあるけど、その時の気分にちょうどいいものを頼む。

これは難しい感覚なので説明はできないが、好きなものを頼むってのともちょっと違う。

 

自分の腹具合、お店の雰囲気、周りのお客さんの空気、それらを感じ取りながら、そのグルーヴを崩さないチョイスが『ちょうどいい』ってこと。

 

余計難しくなったな。

まぁ一人で飲んでるんだし、色々めんどいこと考えたっていいだろう。

 

 

高知では、一人でカウンターで飲んでると、お隣さんと自然に会話が始まることが多々ある。

この日もそう。

お隣さんは東京からの出張で来られたとか。

その隣は生粋の高知県人。

互いに名乗るでもない。

素性が知れないギリギリのラインの自己紹介が飲み屋のグッドマナーだ。

相手の詮索も野暮である。

しかし、そこからいい距離がつかめればその限りではないのだ。

 

この日は、気が付けばあれやこれや話し、名刺まで交換する。

高知の飲み屋ではよく見かける光景である。

 

 

皆さんはどうですか?

一人で飲んでるときは一人で静かに飲りたいですか?

見知らぬ隣人と一期一会の縁を肴に飲りたいですか?

 

僕はどっちでもバッチこいです。

この日の店内はまさに後者の雰囲気。

しかし、しつこく絡む御仁はおらず、みんなで場の雰囲気をよくしようという空気に満ちていた。

 

なんだか、久しぶりにいい酒が飲めたな。

一人で飲むのはいいもんだ。

誰とも話さず一人でしっぽり飲めてもそれはそれで趣深い。

誰かとスイングしたってそれはそれでいい。

自由に飲める楽しさがそこにある。

 

 

満ち足りた気持ちで僕は2軒目へと歩いていった。

 

いい気分の時は、その気分のままに歩を進めればいい。

たとえそれが平日でもね。(1時帰宅の翌朝後悔)