祝日の朝は6時に始まった。
洗濯をして掃除をしてエニタイムへ出かける。
時間のせいか人が少なく、快適にトレーニングできた。
家でご飯を食べて、さぁどこのサウナに行こうか。
いつもの場所に行ってもいいが、高知県内の入浴施設を制覇したい気持ちも芽生えてきている。
どのくらいあるのかは分からないが、この1年かけて回ってみるのも悪くない。
というわけで今日は少し遠出して、『黒潮温泉 龍馬の湯』に行ってみようか。
ここは『高知黒潮ホテル』に併設している温泉施設。
家からは車で40分ほどかかる場所だ。
暇人か。
素敵な暖簾をくぐって脱衣所へ。
人も多くなく、きれいにされている。
しかし、一つ気になる張り紙が。
「他のお客様への威圧的な言動や暴言などをしないようお願いします。そういった行為が確認された場合は、当施設への立ち入りを禁止させていただきます。」
恐いよ。スラムかよ。
他の温泉施設や銭湯では見たことがない張り紙だ。
おそらく、こういったことが頻繁に起きたことでこのような張り紙をせざるを得なくなったのだと想像する。
また、この張り紙以外にも、感染症対策の徹底を促す文言が書かれた張り紙も多い。他の入浴施設よりも確実に多い。
こちらのお客さんに、そのへんのことに敏感な方が多いのかもしれない。
中に入ってすぐに、他の入浴施設との決定的な違いに気付く。
寒い
露天風呂へ続く扉は全開だ。そして上方の窓も開け放たれている。
換気はバッチリってわけですね。
そして、浴室内にも感染症対策の徹底をお願いする張り紙が多い。
それだけ気を遣ってくれているのだろう。
体を洗い、湯船で温めたらサウナへ。
そこそこ広く清潔で、12分計や時計、テレビに温度計もある。
設備としては全く問題ない。
が、
サウナ内には、他にはなかった張り紙があった。
『黙浴』
これはどこのサウナにもあるから分かる。
『咳やくしゃみをする際はタオルで口を覆うなどの配慮をお願いします。』
ここまで書いてあるところは珍しいな。
『サウナ内会話禁止』
ご遠慮くださいは見たことある。
しかし、禁止とまで言い切るほど強い注意書きは見たことない。
ここにきて確信した。
サウナ内でのおしゃべりを巡ったお客さん同士のトラブルが続いたに違いない。
ホテルに併設していることもあり県外客も多い。それに、近くに入浴施設がないため地元民の利用も多いことだろう。
互いに感染症対策に関しては敏感にならざるを得ない状況で、トラブルが起こってしまったのだろう。
サウナ内での会話については人気YouTuberのはじめしゃちょーさんも何度も動画で取り上げていた。
僕自身は喋ることはないし(いつも一人)、喋りたいとも別に思わない。
しかし、ネットで少し調べただけでもサウナ内での会話をめぐるトラブルは全国で起きていることが分かる。
喋るなって書かれてるのに喋っちゃう人はどういうつもりなんだろうな~などと考えながら1セット目を終える。
外が寒いせいか1セット目から12分間入った。
2セット目も同じく12分。
だんだん気持ちよくなってきた3セット目のこと。
事件が起きる。
僕のほかに、おじさんが3人。
黙って汗をかく。
すると若者二人組が入ってきた。
そして当たり前のように会話が始まる。
ちょっとならいい。でもずーーーーーーーっと喋ってる。
今その話必要?ってくらい他愛もない話をし続けている。
隣のおじさんは明らかにイラつき始め、咳ばらいを繰り返している。
しかも、大袈裟に口をタオルで覆いながら。
それでも一向に気付かない若者二人。
とうとうおじさんはサウナの外に出てしまった。
イラつきを前面に出しながら、「バンっ」と扉を開けて。
あーこういうことね。こういう感じで揉めちゃうのね。
出ていったおじさんのイラつきを引き継いだように、残りのおじさんも咳払いや舌打ちをしている。
そして「あーあ」と大声で言いながら出ていった。
若者は気付かない。
そもそもそういった空気に鈍感だからサウナでぺちゃくちゃ喋っちゃうのかな。
今週のお題「冬のスポーツ」
冬のサウナでの熱いゴングが鳴っちゃうところだった。
これは僕の出番か?彼らよりちょっとお兄さんの僕が優しく教えてあげるべきなのか?
このままでは彼らは怖いおじさん達に怒られてしまうかもしれない。
それに彼らが反発したらまた張り紙が増えるかもしれない。もしかしたらサウナ使用禁止なんてことも・・・
よし。
僕が言おう。
僕が彼らに会話はやめといた方がいいという注意をしよう。
他に誰もいなくて、あまり恥をかかせない今がチャンス。
しかし問題は何て注意するかだ。
なんて注意したら穏便にかつ、彼らに効果のあるものになるだろう。
「張り紙見えへんの?会話禁止やで。」
火の玉ストレート過ぎる。これじゃ揉める。
「おじさん達怒ってたよ。僕はいいけどおじさん達に怒られるからあんまり会話しない方がいいよ。僕は別にいいんだけど」
いや情けない。保身が過ぎる。
考えた挙句僕の繰り出した注意は・・・
彼らの前に立ち、左手で張り紙を指さし、右手の人差し指を口元に持っていき
「シィーーーーっ」
「あっすいません」
素直に謝った彼らの言葉を背中で聞きながら外に出る。
えっ?何であんなかわい子ぶったやり方になったん?
「シィーーー」の言い方もなんか女子みたいやったやん。
えっ?恥っず。
悶えるほどの恥ずかしさをキンキンの水風呂でクールダウン。
ほどなく若者二人もサウナから出てくる。
明らかに気まずそうにしながら、僕が出るまで水風呂に入ろうとしない。
ほら見ろ。
こういう時は言った方も言われた方もいい気分になるはずないんだよ。
言わなければよかったかな~
何が正解だったかは分かりません。
こういうときどうしたらよかったのか。
みなさんならどうします?
今分かっていることは、
僕のかわい子ぶった言い方はどうやら正解ではなさそうです。
とりあえず喋らないように気をつけるしかないですね。
お風呂を出てゆっくり休憩してから施設の外へ。
もやもやしたまま東方面をドライブして帰る。
サウナはとても気持ちいいし、毎日でも入りたい。
それは僕だけでなくみんなそう。
だからこそ、自分が気持ちよく使うために、みんなが気持ちよく使えるように常に心がける必要があるんだろうな。
みんなが「公共」という言葉をもっと意識するといいかもね。
おわり。