むらよし農園

面白いことが書ければと。

いつか、助けてくれるその日まで

寒い。

間違いなく今シーズン一番。

 

4時からストーブをつけて、昨夜に思い付きで仕込んでいた大根の汁を温める。

 

素朴な味に仕上げた大根は体を芯から温めてくれた。

 

 

僕は冬になると、意識的に大根をよく食べるようにしている。

美味しいし、安いし、栄養もあるし。

 

でもそれだけじゃない。

 

 

さいころに見た「大根の武者」というお話の影響が大きい。

 

これは、大根を万能薬と思い込んで毎日毎日ありがたがって大根を食べているお侍さんの話。

ある日、そんな侍の館を野武士たちが取り囲んでしまう。

そんな絶体絶命のピンチに現れたのは二人の見知らぬ屈強な武者。

激しい戦いの末に野武士たちを追い返したこの武者たちにお礼を言う侍。

しかし、見ず知らずの人に助けてもらったことに疑問を抱いて質問する。

 

「見かけないお顔ですがどちら様でしょう?」

 

するとその二人の武者は

 

「いつも大切に食べてもらっている大根です」

 

と告げて去っていった。

 

 

ざっくりいうとこんな感じの話。

 

 

 

この話を30を超えた今でも覚えていて、冬になると

 

「あぁ大根食べなきゃ」と思ってしまう。

 

 

調べてみるとこの話は徒然草に載っている話なのだとか。

 

 

さいころの記憶に妙に縛られるというか、行動を左右されることって結構ある。

 

「ご飯粒一粒には7人の神様がいる」

「夜に爪を切ると親の死に目に会えない」

「夜口笛を吹くと泥棒が入る」

「トイレにはそれはそれは・・・」これはちと違うか。

 

 

僕はこれらのことをすべて信じてるし、いまだに守っている。

 

正直不便なこともある。

 

明らかに爪が長くても陽が落ちると切れない。

 

 

そもそものこの伝承自体、

まだ電気もなく、夜の明かりは蠟燭しかないような昔に、夜爪を切るのは危険な行為だった。爪切りも今ほど簡単じゃなく扱いも難しいものを暗い中でやっちゃうような奴は早死にするぞっていう教訓からきていると聞いた。

 

今は夜でも十分明るい。

それでもこの言い伝えのせいで僕は夜に爪を切れないのだ。

 

そのせいで、朝職場で爪を切ったりする。

同僚からはバカを見る目で見られるけどそのたびに、

 

「仕事終わって帰るころにはいつも暗くなってるし、家出る時もほぼ暗いから切る暇ないんですよ」

と言うが、みんな分かってくれない。

 

令和4年のAI全盛期の現代でもまだ僕はこんなんだ。

 

 

 

 

ばかばかしいと思うけど、僕はこんな自分をかわいいと思っている。

 

 

 

 

昨日でブログをはじめて200日なんだそうだ。

 

 

我ながらよく続いていると思う。

 

別に誰に頼まれてるわけでも、誰かが待ち望んでるわけでもないが自分で読み返したときに楽しいだろうなという気持ちで毎日書いている。

 

 

これはおそらく、小さい時から言われていた

 

「一度始めたものは簡単にやめるな」

 

という刷り込みにも近い教えを守っているからなのかも。

 

このまま書き続けても何がどうなるとかは分からない。だけどまだまだ書き続けてみようと思う。

 

 

食べ続けた大根がいつか野武士から助けてくれるように、いつかこのブログに救われるようなことがあるかもしれないから。