朝から晩まで働いた平日の真ん中。
働くおじさんにも癒しが必要だ。
次の日も仕事、遅くまでは飲めない。
飲み屋に行っちゃうほどではない。
定食屋はもう開いてない。
チェーン店の飯じゃあ心の渇きまでは癒せない。
そんなときバチっとハマる店が高知にはある。
6時起床。
カーテンを開けると、美しい朝焼けが遠くでウォーミングアップ。
つまりまだ夜。
颯爽と自転車で出勤。
途中のパン屋で朝食用と昼食用のサンドイッチを買う。
職場に一番乗り。その勢いで昼食用に買ったパンまでうっかり食べてしまう。
仕事は年末に向けて最後の力を振り絞ってるように忙しい。
仕事を終えたのは22時を少し回った時だった。
お腹は空いている。
でもがっつり食べるようなテンションではない。
出来れば酒も飲みたい。
しかし、翌日のために飲みすぎることはしたくない。
そんなときはここしかない。
ここ行くために仕事を22時まで粘ったのかもしれない。
繁華街から離れたさびれたシャッター商店街。
そこにポツンと赤い灯りを見つければ、そこが大人の飯屋である。
夜の22時ごろから開店するこの店は大人の味と大人の雰囲気、そして大人のドラマがつまってる。
22時ごろと書いたのは、本当は23時開店らしいがおばちゃんが
「最近は21時半くらいには開けちゅうときもあるで」
と言っていたのでだいたい開いてる22時ごろ開店ということにさせてもらった。
地元民と常連さんしかいないように見えるが、恐れず一歩踏み出そう。
勇気を出して暖簾をくぐった瞬間からもう「馴染み」よ。
奥に細長い作りで、カウンターが並んでいる。
まだお客さんは一人だけだ。
気に入った席に腰かける前にまずは一言。
「瓶ビール1本」
生ビールか瓶ビール、どっちを選択するかはとても大事。
TPOをわきまえたイカした男なら間違えないはず。
この店の雰囲気、味、時間帯でいけば瓶一択だろう。
コップのサイズもちょうどいい。
仕事終わりの体にバチコンかませばそれだけで『生きててよかった』が顔を出す。
メニューを見る前に、目の前に並んだおばんざいからいくつか選んで注文する。
どれを選んでも全部好きな味がする。
どれを選んでも美味しいんじゃない。
どれを選んでも「好き」なの。
間違えんとってな。
無論美味しいんだけどね。
名前など全部分からないから
「この大根とそぼろのやつと、その手羽のやつと・・・・あとこれ。」
こんな感じで注文する。
瓶ビールとおばんざいで心を癒したら、そろそろ飯でも頼もうか。
そう。
僕らは飲みに来たんじゃない。飯食いに来てるの。
そこがこの店のいいとこ。
しっかり食わせるメニューがある。
居酒屋にあるご飯も食べれまっせなメニューじゃなくて、しっかりとお食事処なメニューなのがホントにうれしいよね。
先輩は店主と
「今日の魚の丼はどんな感じです?」
「今日はブリがえいね。あとマグロも美味しい。両方のせることもできるで」
という常連のようなラリーをしていた。(来店2回目)
うまそうすぎる。
みそ汁がとにかく優勝してたそうだ。
街のどんな〆よりも美味しいみそ汁がここにある。
僕も渋い注文したいな。
うどん、そば、ちゃんぽんなどの麺類。
雑炊、丼もの、
そして各種定食なんでもござれだ。
そんななか僕がチョイスしたのは・・・
メニューには載っていない、常連だけがたどり着けるオムライスだ(来店3回目)。
初めて行った日におじさんが頼んでて、
いつか頼もう。僕が常連になったらいつか頼んでやる。と心に固く決めていた。
そして3回目の来店で早くも頼んだ次第である。
オールドファッションな見た目。
よくある甘いチキンライスと思いきや、
パンチを効かせた塩気と旨味で食わせるストロングスタイルだった。
これまた好きな味で、ビールと一緒に瞬殺した。
腹はパンパン。それ以上に心を満たされて退店。
滞在時間は40分。
大人の飯屋ではこれくらいで出るのが粋ですね。
僕らが店を出る頃には多くのお客さんで賑わい始めていた。
朝4時ごろまで営業する竹葉。
酔ったサラリーマン、地元の酔客、仕事終わりの夜の蝶たち。
今宵も多くの人を癒すことだろう。
チェーン店のがっつりメニューを腹いっぱい食べたいときもあるし
腰据えてしっかり飲みたいときもある。
そのどちらでもない隙間の願望
「ちゃんと食べれるけど、ちょっとは飲みたいよね」
これを満たす最高の店だと思う。
ミッドナイト定食屋。
高知の深夜食堂はここだ。
こんな楽しみがあるから大人は楽しいのかもしれない。
また近いうちに。