仕事終わりの19時。
土砂降りのなか車に乗り込む。
車のスピーカーからHi-STANDARDの『STAY GOLD』が流れ始めた。
かっこいいな。
最近はもっぱらYouTube Musicで音楽を聴いている。
オフライン再生で流している。
どういう仕組みなのかは分からないが、僕が保存した覚えのない音楽もガンガン流れてくる。
おそらく、これまで保存したり検索したりしたジャンルなどをAIが記憶して、僕好みのプレイリストを作っているんだと思う。(違ってたらすみません)
これがなかなかに良い。
ほとんど外してこない。
なかには中学校の頃よく聞いていたが、しばらく忘れていた曲なんかも流れてくる。
僕より僕のこと分かってくれてんじゃん。
そんなYouTubeMusicを聴きながら運転していると、懐かしい曲が流れてきた。
何年ぶりに聞いたことやら。
この曲は僕が人生で初めて買ったCDだ。
正確には母親におねだりして買ってもらったわけだが。
文房具に混じってCDを置いていた町の文房具屋さん。
消しゴムを買うついでにダメもとでお願いしてみた。
母親は、およそ小学生の選ばないだろうCDを持ってきた僕に懐疑的な目を向けている。
しばし渋っていたが買ってくれた。姉に言わされて、欲しくもないCDをねだるかわいそうな弟だとでも思ったのだろう。
帰りにソフトクリームまで買ってくれた。
バッチバチにロックしてるイントロからボーカルの弾ける歌い出しで始まる。
当時歌詞の意味なんて全く分かってなかったが、曲全体を通してエモさは伝わってきた。
恋愛なんて身近には存在してなかったし、誰かのいちばんになれるとかなろうとか考えたこともなかった。
それでも胸を締め付ける力が、思春期の切なさを前借りさせるようなエモさがこの曲にはあった。
そして今もある。
それなりの経験をしてきたおじさんの胸も容赦なく締め付ける。
僕の世代ど真ん中ってわけではないLINDBERG。
周りの友人はもちろん誰も知らなかった。
僕は小さいころから姉、兄の影響を強く受けてきた。
LINDBERGが好きなのも姉の影響である。
そうやって育ったせいか、LINDBERGはもちろん、ジュディマリやジッタリンジンなど女性ボーカルのバンドが好きだった。
それも、音楽には詳しくないのでなんといっていいか分からないが、
『パシッ』とした声の女性ボーカルが好きだ。しっとりとメロウな感じではなく、瞬発力のある感じ。
伝わるだろうか。
ジッタリンジンの『にちようび』なんてどストライクだ。
ちなみに兄の影響でユニコーンも大好きだった。
同級生たちがポケモンを歌っている横で僕は『Maybe Blue』を口ずさんでいた。
なんてかわいくない小学生だろうか。
自分でも何を言ってるか分からなくなってきたのでやめよう。
ともかく、
自分の心の奥底に眠ってた思い出ごと引っ張りだされて気持ちよくなった僕は、土砂降りの中を遠回りをして家に帰ったんだ。
好きな曲や聞きたい曲、気持ちいい曲はたくさんある。
でも大切な曲っていうのは別格なんだ。
大切な曲には大切な思い出が紐づけされている。
思い出からその曲にたどり着くこともあるし、曲からその思い出にたどり着くこともある。
今日は久しぶりに聞いた曲からいい思い出にたどり着いた。
ありがとうYouTube Music
ありがとうLINDBERG。
そして、ありがとうお母さん。