朝すごく早く目覚めた。
5時。
こんな時間に起きてはとても体がもたない。
今日は21時過ぎまで仕事がある。もう少し寝よう。
7時半。
やらかした。
別に遅刻ではないけどいつも起きる時間より1時間半も寝てもた。
急ごう。
仕事はそれなりに忙しくて体と心が疲れを見せ始める夕方。
ふと思い出した。
そういえば僕があの曲をはじめて聞いてから20年が経つ。
確か僕が中一の時の曲だから間違いないな。
『ケツメイシ』の『手紙~未来』
そうかもう20年か。
この曲を聴いてた中一の時はホントに何もできない田舎の小僧だった。
全校生徒10人前後の超小規模校。
コンビニない、携帯ない、そもそも電波がない。
おそらく今の生活に必要なものは何一つないような学校生活を送っていた。
同級生は保育園から一緒なのでもはや異性には見えない。
部活の大会だけが僕の唯一の異性との出会い。
そこに命を懸けるような普通の少年だったが、音楽だけはいっちょ前に流行りのものを聞いていた。
うちの島に入ってくる流行りの音楽はなぜかヒップホップとレゲエばかりだったので必然僕もそういう音楽ばかり聴いていた。(あとこっそり倉木麻衣)
ケツメイシは当時大好きでよく聞いていたが、『手紙~未来』が本当の意味で刺さったのは23歳になった時だった。
「努力嫌いの俺今日以来、遠い未来の俺10年後の君、のため日々、地道にと・・・」
というように歌詞の中に10年後の未来についての記述が多くみられる。
そしてサビに
「まだ見たことない未来で、勇敢に戦う俺がいる。きっとそうだろうどうなの?未来の俺らの状況は」
というように未来で頑張っているだろう自分へのエールが歌われている。
23歳の冬。
大学留年1年目の僕はバイトと学校に明け暮れていた。
留年した分の学費を稼ぐためにバイトしまくってもう1年留年したのはいい思い出。
とある日の学校終わり、午前中で授業を終えて午後からのバイトに備えて家で昼ご飯を食べていた。
ふとラジオから(当時テレビ持ってなかった)「手紙~未来」が流れてくる。
懐かしいなぁと思って聞いていると、
急に涙がこぼれてきた。
世の中のことなんにも知らずに口ずさんでいたあの頃から10年経った自分に気付いたからだ。
「がんばってるか?」
10年前の自分からの手紙だと気付き、感情を抑えれなかった。
10年経ったことで初めてこの曲の本質が分かった気がした。
あの頃のピュアな気持ちに触れたことで動揺してしまった僕は、
もうすぐバイトだというのに冷蔵庫からビールを出してがぶ飲みした。
こんなはずじゃなかった。
そんな思いが僕にビールを飲ませたんだろう。
23歳の自分はきっとかっこいい大人になってバリバリ働きながらかわいい彼女でもいるんだろうと思ってた。
まさか23歳の僕が大学を留年して、バイトしてスロットばっかりしてるゴリラになってるなんて。
2本目のビールを片手にバイトへと飛び出した。
バイト先でその話をすると
「自分もそんないいお酒飲みたいな」と言ってくれた。
バイトを終えて帰ってきた。
思い出したように友人に電話する。
「めちゃめちゃ久しぶりやん。どしたん急に?」
「手紙~未来聴いてたあのときから10年経ってんぞ。」
「うわ。ほんとだ。」
そこからは互いの近況を報告しあい、頑張らんといかんなという話を1時間ほどして電話を切った。
この1時間は僕の宝物として刻んでいる時間だ。
そして33歳の今日。
この曲が流れてきたわけでも聞いたわけでもない。
夕方一人で職場にいる時
自然と口ずさんでいた。
あぁそうかこんな形でも手紙は届くのか。
さすがに仕事中にビール飲むわけにもいかないが
10年前の自分を思い出して、今の自分を考えてみた。
うん。
そんなに悪くはないんじゃない?
10年前は20年前と違って未来に不安を持ってたから、あのとき想像してた自分よりは悪くはないはず。
毎日楽しく生きてるし。
20年前に想像していた自分は結婚して子ども2人はいたはずなんだけど。
そのへんはまぁいいか。
さすがに10年後には結婚して子どももいるでしょ。
あれ?いるよね?
頼むよ10年後の自分。
まだ見たことない未来で勇敢に戦っていてくれ。
はてなブログ10周年特別お題「10年で変わったこと・変わらなかったこと」