むらよし農園

面白いことが書ければと。

旅好きの原点

昨日のブログで、一日一日を命を燃やして生きたい的なニュアンスのことを書いた。

 

murayoshinouen.hatenablog.com

 

また、エモい思い出のほとんどは夏の思い出だと書いた。

書きながら色んな思い出が蘇ってきた。

 



 

そのなかでも、かなり濃く残っている思い出を一つ。

 

 

あれは中学2年生の夏。

 

夏休みのど真ん中だった。

 

毎日毎日、野球するか、釣りするか、ゲームするか、海で泳ぐか。

それだけしかない。

中学生に出来る娯楽はそれだけ。コンビニもないし何のお店もない。

 

そんなある日、僕らの集落から約10キロ近く離れた川に泳ぎに行こうという話になった。

僕らの集落には泳げるほど大きな川はなく、海でばっかり泳いでいた。

たまには川で泳ぎたいし、それに・・・

 

その川には他の中学校の女子も泳ぎに来ているという噂もあったのだ。

 

どう考えても女子だけが泳ぎに来ているわけはないし、女子が泳いでいたからなんやねんという話ではあるが。

 

計画をぶち上げたのは8個上の先輩。

当時の先輩はなんやかんやあり、夢破れて都会から帰ってきていた。

毎日毎日僕ら中学生と遊んでいたことを考えると、相当暇だったのだろう。

 

今考えると、中学生と毎日遊ぶ24歳はかなりヤバいよね。

 

 

そして暑い夏のなかでもとびきり熱い日にその計画は実行された。

 

少し早い昼ご飯を食べ終えた僕らは集落の端っこにある友人の家に集合した。

 

南国特有の痛いほどの日差しと、重くのしかかってくるような暑さのなか、みんなのテンションは上がりまくっていた。

 

さぁ出発だ。

 

当時は今ほど『熱中症』という言葉も聞かなかったのでごくごく軽装備。誰ひとり帽子などかぶっていない。

なんならどうせ泳ぐからと海パンに上半身裸のやつまでいた。

 

川までの道のりは半端じゃない。

距離にしたら10キロ程だが、ひたすら山道が続く。

全員ママチャリだし、なんなら二人乗りのやつもいる(頭おかしい)

漕いで登れるような勾配ではないので、押して歩くしかない。

山を登り切るだけで1時間以上費やしてしまった。

 

そこからはつかの間の下り。

気持ちよくビュンビュン飛ばす。

 

これまで車でしか通ったことのない道を自転車で行く。

それだけで興奮が止まらなかった。

 

中学生にとってはそれだけで大冒険だ。

 

ただ、一番興奮していたのは24歳の先輩だった。

 

小学生と中学生に混じって大はしゃぎする先輩は今思うと結構キテるね。

 

なんだかんだ2時間ほどかかって川に到着。

僕らは競うように飛び込んでいった。

 

火照りまくって汗だく、まるでサウナの後の水風呂のように気持ちい瞬間だった。

そこからしばらくバシャバシャとみんなで泳いでいた。

 

するとそこに・・・

 

 

女子中学生らしき集団がやってきた。

 

 

噂は本当だったんだ。

 

一気に緊張感が増した我々ド田舎童貞ボーイズは、急にみんな格好つけ始めた。

 

一体何を期待していたのか。

 

さっき野グソしてたやつまでがクールぶった表情をしている。

お前だけは格好つけんな!いい加減にしろ!

 

 

いくら格好つけたところで僕らには女子に話しかける度胸もコミュ力もない。

全員真っ黒に日焼けした丸坊主頭なので個性すらない。

 

そんななか、僕らのボスが動いた。

 

 

「俺に任せとけ」

 

 

そう、24歳にして絶賛ニート中、小中学生と行動を共にするピーターパン。そんな先輩が女子グループに向かって歩いていく。

 

さすがボス、僕らが出来ないことを平然とやってのける。そこに痺れる憧れる(今思えば事案)

 

先輩はしばし女子中学生5人と談笑する。(変態)

 

意外と盛り上がっているように見える。(変態)

 

しばらくして戻ってきた先輩は、

 

「かわいかった娘2人の電話番号聞いてきた」

 

とドヤ顔で言ってきた。

 

さすがである。僕らがその場で格好つけるしかできないほどの相手から連絡先をゲットしてきたのだ。(犯罪者)

 

その事実を聞いた僕らは興奮して泳ぎどころではない。

 

向こうもチラチラこっちを見てキャーキャー言っている。

 

これはもしや・・・

ひと夏の思い出が・・・

 

 

 

出来ることなく僕らは恥ずかしくなって急いで川を後にした。

 

 

また二時間以上かけて山道を行く。

 

何故か行よりも帰りの方がみんなテンション高かった。

 

さっきまであんなに押し黙ってクールぶってた童貞たちは、自分たちだけの空間になると急にはしゃぎだすのである。

 

家に帰るときには少し暗くなっていた。

 

空腹から、この日の晩ご飯はモリモリ食べた。

そしてあの女子たちとの再会を願って就寝したのである。

 

 

 

こうして僕らの冒険は終わった。

結局もらった番号には一度もかけずじまい。誰も携帯なんて持ってなかったのでそのうち忘れていった。

 

あのときの何とも言えない気持ちの高まりはもうきっと味わえない。

 

バカみたいに暑かった夏の出来事である。

 


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