今週のお題「スープ」
僕は自分で言うのもなんだが料理が得意だ。
幼少のころから料理が好きでよく作っていたし、なにより一人暮らし歴が長い。
特にパスタは金の無い頃によく作っており、市販のパスタソースを買うことはない。
自分で作ったほうが美味しいと思っているし、どうしてもあのインスタント感が好みではない。
そんな僕が唯一買って食べたくなる市販のパスタソースがある。
ホントにごくごくたまにであるが、無性に食べたくなるのだ。
それがこのハウス食品 パスタココ『スープスパゲッティ コーンクリーム』である。

懐かしいと思ってくれる人がどのくらいいるだろう。
僕が確か小学校高学年、中学生くらいのときに食べていた記憶がある。
それも土曜日に。
中学1年生のときまでは土曜日は隔週で学校があった。
いわゆる『半ドン』とか呼ばれていたように、3時間目まで授業があったと記憶している。
そして昼頃にちょうど下校となるのだ。
家に帰ると『吉本新喜劇』が始まっており、母親がサッポロ一番の味噌ラーメンか、夏には素麺を作っていた。
新喜劇を見ながら急いで麺をすすり、食べ終わるか終わらないかのうちにまた急いで家を飛び出して遊びにいったり部活にいったり。
土曜の昼ご飯は、暗黙の了解で麺類だったのだが、そのラインナップにいつしかこのスープスパゲッティが入ってきた。
スパゲッティと言えばミートスパゲッティかナポリタンくらいしか食べることなんかなかったし、食卓にパスタが並ぶことも今ほど多くなかった。
そこに急にちょっとハイカラで不思議な味のスープスパゲッティが入ってきたのだ。
僕にとっては事件に近かった。
そのうち土曜の隔週の学校はなくなり、完全土日休みのゆとり教育が完成した。
そして土曜の昼ごはんも母親が作って待っててくれるものではなくなり、いつしか自分で作って食べるものになっていった。
僕は素麺があまり好きじゃなかったので自分でスープスパゲッティを作って食べることが増えた。
吉本新喜劇を見ながらお箸で食べてた。
それから年月は過ぎ、30歳を過ぎた。
ある日近所のスーパーの棚にこのスープスパゲッティを見つけた。
何とも言えない気持ちになり、急いで買って帰った。
味も覚えてなかったし、その姿を見るまで1秒も思い出したことなかったのに急に懐かしさに胸が躍っていた。
そして一口食べた瞬間脳内にあの吉本新喜劇のオープニングの曲が流れ始めた。
土曜の昼間のリビング。
電気はつけておらず、外から入り込む自然光のみで少し薄暗いテーブル。
テレビからはやや大きめのボリュームで吉本新喜劇が流れている。
父はソファで横になり、僕は一人でアツアツのスパゲティをすする。
当時使っていた、緑色で少し深めの皿。
箸は木でできた先がちょっと丸くて溝が入ったやつ。
麦茶の入ったコップは変な花柄の透明のガラスのコップ。
これまで一度も思い出したこともなかったような記憶が急に蘇ってきた。
味にリンクしている記憶というのは意外なほど残るというのを聞いたことがあるが、まさにその通りだと思った。
今回のお題の「スープ」という文字を見てなぜか真っ先に浮かんだのがこのスープスパゲッティだった。
無性に食べたくなり探したが、数年前に売っていた近くのスーパーは昨年閉店していたし、その他のスーパーにもなかった。
だがネットでは買えることが分かったので10個ほど注文してみた。
次食べたらどんな記憶がよみがえるのだろうか。
「邪魔するでー」
「邪魔すんねやったら帰ってー」
「あいよー・・・」