日曜日の朝8時半、郊外にある山の上の球場にて地区別対抗のソフトボール大会が開かれた。
職場のある地区の方々にどうしても人が足りないからと駆り出され、同僚と二人で参加してきたのである。
先日の地域の会合に出た際に誘われていたのだ。
とても気のいいおじちゃん達で、このメンバーとソフトボールなんかしたらきっと面白いことになると確信して僕らは二つ返事で承諾した。
天気は快晴。
山の上の空気は澄んでいて、非常に気持ちがいい。

監督(73歳)からユニフォームと帽子が配られる。
ユニフォームは水色のような緑色のようななんというか、ティファニーみたいな色である。
よくこんな色をチョイスしたもんだと思っていると、帽子は山の中にいても目立つくらい発色のいい緑色だった。
有能なデザイナーがいるに違いない。
みんなでウォーミングアップを開始。
僕と同僚を除いた平均年齢は60オーバー。
高齢社会丸出しのチームである。ゆえにみな最低限の準備運動しかしない。
キャッチボールをしていると、「パンっ」というボールがグラブに収まる音よりも、「痛い痛い・・・」、「こりゃいかん」、「もうやめよう」などといった弱音しか聞こえてこない。
これは熱い試合になりそうだ。
一度三塁側ベンチに集合し、監督(73歳)からのオーダー発表。
僕は2番ショートという、ドジャースのベッツのポジションだ。
助っ人への期待の大きさがうかがえる。
最高齢のKさん(75歳)はセカンドのポジションを与えられたが、耳が遠くて3回聞き直したあたりで監督にブチギレられていた。
9時に試合開始。
全員グラブを持って整列したが、先攻だった。
誰一人3塁側ベンチの意味を理解していなかった。
僕はショートを守り、エース(74歳)の熱投を守備で援護する(2エラー)。
途中、セカンドのKさん(75歳)がなぜかショートの僕のすぐ横に立つという意味不明なポジショニングをしてきて1、2塁間をガラ空きにするハプニングもあったが、なかなかどうして試合は好ゲームの様相を呈してきた。
僕はとにかく声を出し、みんなを盛り上げた。
おじいちゃんがボールを後ろにそらせば、「どんまいどんまい!!」
おじいちゃんがボールにグラブを当てれば、「ナイスーーーーー!!」
おじいちゃんがボールをキャッチすれば、「よいしょーーーーー!!!」
結果的には6対13のコールド負けを喫したが、みんな満足気だった。
ともに二遊間を守ったKさん(75歳)は、
「こんな引き締まった試合は初めてだ」
と信じられない言葉をもらしていた。
聞けば前回の試合は55対2という前代未聞のスコアで大敗を喫していたという。
平均年齢60オーバーのチームをよくそこまでボコボコに出来たものである。
相手チームにあっぱれをあげよう。
試合後、地域の老舗の喫茶店で軽い打ち上げをするというので参加する。
おじいちゃんたちはみな、自分の出来なさを棚に上げ、誰々の守備は下手だの、誰々は足が遅いだの好き放題喋っていた。
それでもみんな楽しそうだった。
次の試合は来年の10月らしい。
一体どういうスパンで試合が組まれているのか。
聞けば練習も定期的にやっているという。
練習にもぜひ来てくれと熱心にお誘いいただいた。
練習日は、毎月第2日曜日で時間は、朝7時~8時の1時間だそうだ。
年に12時間しか練習しないチームがどこにあるのか。
次の練習には是が非でも参加したいところである。
まずはセカンドの守備位置から教えていこう。
次の練習には参加しようと思っていますと告げて、打ち上げから帰ろうとしてる僕の背中に監督が、
「雨降ったら休みやきね」
と教えてくれた。
まったく平和である。
じいちゃんたちこれからも元気でな。
おわり


