カネコアヤノが好きである。
30歳になるまでの僕は、超がつくほど保守的な男だった。
外食は基本的に好きな店の好きなメニューだけ。
新メニューや期間限定メニューなんて手を出さない。(今はそればっかり)
音楽も、中学高校の青春時代に好きだった曲をずーっと聞き続けてきた。
三十路を過ぎても、僕のプレイリストは高校時代とさほど変化がなかったんだ。
しかし、数年前の夏。
AIに任せてYouTub emusicで曲を流していた時のこと。
ヒップホップやレゲェばかりの中に、突如として流れてきた曲がこれだった。
なんか知らない曲が流れてるな・・・飛ばそうか・・・いやもうちょい聞いてみよう
なんだこいつ
いいぞ
と、
そのまま何回もリピートして再生した。
『カネコアヤノ』というアーティストを僕はこのときはじめて知った。
家に帰り、この曲の映像をYouTubeでちゃんと見た。
顔がタイプだと思った。
それからの僕は毎日毎日カネコアヤノを聞きまくった。
いきなり色んな曲を聞くんじゃなく、好きな曲を何回も何回も聞き、それから次の曲へという風に徐々に知っている曲を増やしていった。
そして去年、カネコアヤノへの愛が満タンになったところで、初めてライブへ行きたいと思うようになった。
これまでは車で細々と聞いてるだけでよかったが、どうしても生の声を聞きたくなったのだ。
自分の行けそうな日程のライブを片っ端から応募した。
どんなハードな日程になろうが、旅費が高くなろうが、行けそうなライブには全て応募した。
そして全て外れた。
僕は見くびっていたんだ。
カネコアヤノの人気を。
弾き語りで武道館を埋めれる実力は伊達ではない。
長年懐メロしか聞いてこなかった世間知らずの僕はその辺の感覚が甘かった。
そして今年、東京と大阪で行われるライブが行けそうな日程であったため、一次先行、二次先行、一般抽選と三度にわたる抽選の結果・・・
見事に全敗を喫したのだった。
ちょっと待ってくれよ。
僕ほどカネコアヤノを聞いてる人間がそんなに多いとは思えない。
上位1%だぞ?
それなのに・・・
悔しさに唇を噛み続ける日々。
そこに一筋の光が差し込んだ。
僕が行きたかった『kanekoayano 野音ワンマンショー2025』がU-NEXT独占配信されるという。
さらに、それを記念して『カネコアヤノ日本武道館単独演奏会2023』もU-NEXTで配信されることになった。
ライブには行けなかったけれど。
これはこれでいいかも。
今はこれが配信されてる限り聞いていこう。
近い将来、生のカネコアヤノに会える日を夢見て。