今週のお題「この夏のプラン」
誰よりも夏が好きな自覚がある。
夏は暑ければ暑いほどいいとすら思ってる。
暑ければ暑いほどその暑さに挑みたくなる。
なのに仕事ばかりで全く夏とプロレスが出来ていない。
カンカン照りの色気ムンムンの日差しを横目に、寒いくらい涼しい部屋でPCを叩いてる自分に嫌気がさす。
何してんだお前は!
夏だぞ!
外出ろよ!
日差し浴びろよ!
仕事なんて冬でも出来んだろが!
危機感持ったほうがいいよ。(ジョージ)
卵5個食ってる?(ジョージ)
と、僕の中のリトルむらよしとジョージに怒られる日々。
「よし。仕事休もう」
8月の平日のど真ん中。
僕は仕事を休んだ。
理由は、サーフィンをするためだ。
生粋の島人であり、小さい頃から海で遊ぶくらいしかやることはなかった。
しかし、海ですることは素潜りか釣り、もしくはマグロのバイト。
マリンスポーツとは無縁の人生。
「出身どこ?」
「奄美大島です。」
「えーめっちゃいいね。サーフィンし放題じゃん。」
「・・・」
「どこ住んでるの?」
「高知です。」
「えーめっちゃいいなーサーフィン出来るじゃん」
「・・・」
こんな会話をこれまで幾度となくしてきた。
そんな日々とお別れし、サーフィン童貞を捨てるために僕は一歩踏み出した。
早朝4時過ぎ。
後輩の車に乗り込み、西へ西へと車を走らせる。
まだ暗い時間帯に動き出すことのワクワク感はすごい。
夜だけど朝。
東から感じる確かな朝の気配に僕のテンションは上がる。
そして午前7時前にポイントに到着した。
いや遠いよ!
3時間近くかかってるやんけ。
到着した場所は、『大岐の浜』という土佐清水市にあるビーチである。
一面に広がる砂浜と水平線。
もうサーファーやん。
朝からこのロケーションに立ってるだけでもうサーファー。
急いで準備をして海へ。
まだみんなが職場にも着いてない状態で僕は海に入る。
その現実に興奮は治まらない。
まずはパドリングをして沖へ。
見よう見まねでやってみるが案外難しい。
もたつきながらもなんとか波待ちポイントに辿り着く。
早朝ということもあり、人はほとんどいない。
誰にも迷惑をかけずにデビューできることのありがたさよ。
ボードにまたがって海を漂うだけでも楽しかった。
それに、僕の島人としてのアレがナニしたのか、案外すんなりとボードに立つことは出来た。
もっともっと苦戦すると思っていたが、驚くほどすんなりと乗れた。
きっと僕のアレがナニしてアレだったってことだな。
サーフィンを開始して1時間ほど経った頃、ビーチが徐々に人で溢れ始める。
その人の群れを見るともなく眺めていると、その中の数人がビキニであることに気付く。
「えっ?」
現実世界でビキニ姿の女性を見るのなんて何年ぶりだ?
眩しかった。
僕が彼女らと同じくビーチに立っていたら、きっと直視出来ていないだろう。
だが今はどうだ。
僕は海の上だ。
見放題である。(違う)
ボードにまたがり、波に揺られながらビーチのビキニギャルを眺める。
これがサーフィンか。
僕は初めてサーフィンをしてる実感が湧いてきた。
午前中いっぱい疲れるほどに満喫し、真っ黒に日焼けして初めてのサーフィンを終えた。
楽しかった。
日焼けもしたし、波にはもみくちゃにされて身体中痛いし、目も真っ赤。
でも楽しかった。
この歳で新しい趣味が見つかった喜びに満ちていた。
僕は後輩に言った。
「またすぐに行こう。夏がフルパワーのうちに。」
後輩は言った。
「もちろん。でもサーフィンは実は1年中出来るんですよ!冬でもウェットスーツとかを着れば・・・」
「違う!!!冬はビキニがいないじゃないか。」
今日から僕はサーファーです。