①はこれ↓↓
葛藤
僕の独断で上司を飲み会に誘うことをやめたわけだが、後輩も
「まぁいないんで仕方ないですね」と納得していた。
そのときは、これでいいんだと自分に言い聞かせていた。
今回の仕事に全く参加してない人を打ち上げに呼んでも、みんな困るだろ。
1人だけ全く関係ない話ばっかりするの嫌だろ。
最近のサボり過ぎな部長の様子に、良くない思いを抱いてる人もいるという話も聞こえてきている。
そもそも、体調悪いと言ってずっと休んでるのに、飲み会だけ来るってのはどう考えてもマイナスである。
みんなにとっても本人にとっても。
そんなの見られたら、余計に周りの人の反感を買う。
呼ばない方が全方位的に上手くいくはず・・・
しかし、そんな思いと同時に、
でもこれまですごいお世話になってるしな
これまでの飲み会の段取りはいつも部長がやってくれてたのにな
体調が悪そうとはいえ、一言ぐらい声はかけるべきかな。
そんな思いも出てくる。
長い葛藤の末に僕は一つの決断を下す。
自己犠牲
僕は、翌朝部長がいたら声をかけようと決めた。
声かける内容も。
「部長、実は明日仕事終わりに、今回のプロジェクトの打ち上げがあるらしいですよ。昨日急遽決まったそうですがどうします?」
急遽決まったことを前面に出して、誘ってなかったわけではないことを強調しよう。
そして、あくまでも今回の大きな仕事の打ち上げだということも強調しよう。
あと、ダルそうな雰囲気を出し、つまらない会になりそうですという顔も忘れないようにしよう。
とどめに、「体調なかなかしんどそうですね?大丈夫ですか?」
という体調への配慮も見せよう。
こんだけやればきっと断るだろう。
しかし、無類の飲み会好きの部長のことだ。
万が一「行く」などと言い出したらどうしよう。
正直、来られても困る。
僕がというより周りの人が・・・
もしそうなったら、
「ていうか、もうその会行くのやめません?僕も行かないんで普通に二人で飲みに行きましょうよ。」
こう言って強引にでも二人で飲みに行こう。
僕がみんなの飲み会を守ろう。
アルマゲドンのブルースウィルスのように僕が・・・
そんな決意を密かに固めた。
そして翌朝、緊張しながら会社に行くと、部長は休みだった。
やはり誘うのはやめよう。
飲み会当日
飲み会当日の朝、早めに仕事に行く。
僕の少し後に、心底ダルそうな部長がやってくる。
いつもなら、始業前に部長と軽口を叩いたり、いろんな話をするのだが、この日は全くもってそんな雰囲気ではなかった。
よっぽどしんどいのか、何を話しかけても
「あぁ」とか「おぉ」とかいうだけである。
そして、始業1時間で帰ってしまった。
こんな大事な仕事の日にまで・・・
よっぽど体調が悪いのか、この仕事に興味がないのか。
いずれにせよ誘わなくて正解だったな。
その日はとにかく忙しく、みんな終業時間まで1ミリの隙もなく働いた。
そして飲み会。
キツイ仕事から解放された喜びと久しぶりの飲み会ということで、美味しくお酒を飲むことが出来た。
みんな今回の仕事をねぎらい合っている。
誰も部長のことを話題にする人はいない。
やはり、この飲み会には部長はいなくて正解だったかもな。
僕は自分の選択が正解だったことを確信し、楽しく飲み会を終えた。
翌週から始まる部長の反撃を、このときの僕はまだ知らない。