むらよし農園

面白いことが書ければと。

体毛の話と、失敗は繰り返す話

お題「地元では当たり前のものなのに、実は全国区ではなかったものってありますか?」

僕は島生まれの島育ち。

毎号『POPEYE』を読んでいるが、どうしたってシティボーイにはなれそうもない。

 

murayoshinouen.com

 

どんなに着飾ろうと、ひとたび服を脱いで裸になれば、そこには隠しようもないほどの「島感」が匂い立つ。

 

だからどうだということではない。それが嫌だとも思わない。

僕はそういう島に生まれたんだ、というアイデンティティの一端を担っているとすら思っている。

 

 

僕は大学生になるときに島を離れた。

島には大学はない。

 

遠く離れた、縁もゆかりもない高知に進学した。

 

遠すぎるゆえ、簡単に家探しに行けるはずもなく、手っ取り早く寮に入った。

島のことしか知らぬ僕にとって、そこは新鮮な気付きの連続だった。

全国各地から、言葉も文化も全然違う人間たちが集まっている。

 

日本て国はなんて広いんだと思った。

 

地元では当たり前だったのに、それが全国区ではなかったことなんて山ほどある。

しかしそんななか、最も驚いたのが『体毛』である。

 

僕はどうやら体毛が濃いらしい。

すね毛など、一目置かれるほどだ。

だが、高知に来るまで、そんなこと一度たりとも思ったことはない。

 

なぜなら

 

島ではみんなこうだったから。

 

僕の周りの人間は全て、僕と同等かそれ以上に濃かった。

だから、僕は自分のことを普通くらいだと思っていた。

 

しかし、寮に入り、周りの人間と比べると、自分と他者との、すねに生えてる毛量の差に驚くばかりだった。

 

たまに、島に帰ってみんなと会う。ふと視線を下げて確認してみる。

 

短パンから覗く、ふさふさと風にそよぐすね毛を見ると妙に安心するんだ。

 

余談だが、小学校の高学年の頃までは、大人になると胸毛が生えるんだと思っていた。

でもそうじゃないことを大相撲中継が教えてくれた。

 

お題の趣旨とは少しずれたかもしれないが、以上が僕の全国区だと思っていたものである。

 

そして先日、これまで全く気にしたことはなかったが、ふとすね毛を切ってみようと思い立った。

 

脱毛なんてしゃらくせぇと思っているし、別にどう見られようが、気にしなかった。

このすね毛を嫌だという人とは所詮分かり合えないと。

 

そう思っていたが、歳をとり、体中のメンテナンスが必要になってくる。

もしかしたらすね毛だってその範疇なのかもと考え、思い切って切ることに。

 

切るというか。すく感覚かな。

鋤ばさみを持って身構える。

思い出すのは1年前の痛い思い出。

 

murayoshinouen.com

 

もうこんな失敗はしない。

 

そう思い慎重に切っていく。

 

床に敷いたビニールにどんどん毛が落ちていく。

両足をしっかりと切り終わるころには、かなりの毛が落ちていた。

目算だと、一般男性2人分のすね毛くらいは切った。

 

そして改めて上から両足を見る。

 

 

1ミリも変化は見られなかった。

 

 

こんなに切ったのに。

全く見た目の変化なし。

きっと僕は、目には見えないすね毛を隠し持っていたのかも。

表面の毛を切ったことで、それらが表面化してきたのかも。

 

せっかく決意して頑張ったのに。

僕はやるせなさから、封印していた、禁断の金○近辺の毛に手を出す。

久しぶりに切るので、まずは様子見だなと軽くハサミを入れてみた。

 

 

プチっ

 

という確かな手ごたえを感じ、急いでハサミを離す。

 

股の付け根から一筋の赤いものが流れてきた。

僕はまたもやるせなさを感じ、思い切ってそのまま昼寝をすることにした。

 

先日の日曜、昼下がりの出来事である。