むらよし農園

面白いことが書ければと。

器の世界に一歩踏み込んだ話

今日、新たな扉が開いた。

 

これまであまり踏み入れたことがない世界への。

 

 

『器』である。

兄から、小包が届いた。

少し遅くなったが、誕生日のプレゼントらしい。

それが上の器である。

 

松原竜馬さんという作家の『粉引6寸リム鉢』というものらしい。

 

まずはこの器が送られた経緯から。

 

 

昨年の夏に帰省した際に、兄の家で昼ご飯を食べていた。

その日のメニューはシンプルな汁なしのうどんだった。

味付けが好みだったこともあるのだが、妙に美味しいなと思っていた。

 

そこで気付いたことが、器の良さである。

うどん

うどんとネギだけ。

白と緑しかないこの料理がこんなに映えて見えるのは、器の力に他ならない。

 

「この皿なんかかっこいいね」

 

ソファでくつろぐ兄に、僕は何気なく言った。

 

 

時は過ぎて今年の夏。

やることのなかった僕は断捨離に精を出していた。

 

部屋がどんどんきれいになっていくのは気持ちがいい。

部屋の掃除、クローゼットの整理、そして食器棚へ。

 

そこで不意に気付く。

 

僕の使ってる食器はなんかダサいな。

ダサいは言い過ぎだけど、どうもパッとしない。

 

よく考えたら僕は自分で食器を買ったことがほとんどない。

 

一人暮らしを始めた時に、実家から送られてきたものをずっと使っている。

自分で買い足したものは、ニトリとかで買った、シンプルなだけのなんの変哲もない皿。

 

料理も好きだし、キャンプギアなどにもそこそここだわりは持っているほうだ。

 

なのに器に関しては無頓着なのか。

 

僕はそんな自分をちょっとダメだなと思うようになった。

 

そこで、食器類など、いわゆるテーブルウェアに並々ならぬこだわりを持つ兄に連絡をした。

ちょっとだけいい器を買おうと思っている。

そして、それを軸に食器類を一新したいと思っている。

 

その旨を告げると、兄は、ひとつセレクトしてプレゼントすると言ってくれた。

 

それが今回届いた器である。

 

実は、この器を作った松原竜馬さんは、昨年の夏に、僕がうどんを食べたあの器を作った人であった。

あの時の僕の何気ない言葉を兄は覚えており、同じ作家さんのものをセレクトしてくれたそうだ。

 

うれしいじゃないか。

 

なんだか、新しい武器を手にいれたみたいだ。

ワクワクしてくる。

毎日使うものだからこそ、こだわりの詰まったアイテムをチョイスする。

これまで、分かっているようで分かっていなかったことに気付かせてくれた今回の器。

 

大事に大事に使おう。

 

最後に。

陶器の器は、使い始める際に『目止め』ということをしなければならない。

 

陶器の表面には、目に見えないひび割れや穴が開いているらしく、そこに油が沁み込んだりすることで、シミや割れの原因になるそうだ。

 

目止めとはそれを防ぐための大事な工程である。

 

代表的なやり方としては、米のとぎ汁で煮ることだ。

鍋に陶器を入れ、陶器が浸かる程度にとぎ汁をいれる。

そして沸騰しない程度に沸かして、そのままじっくりと冷ます。

 

難しいことはない。

モノに愛着を持つためのひとつのステップだと思う。

 

夜の間にこれを済ませて、さっそく翌日の朝食から使ってみた。

めちゃめちゃ映える料理にしようとも考えたが、悩んだ末に、いつもの朝食にしてみた。

 

 

まさかの納豆ご飯。もう少しなんかあったやろ。

 

でもなんだか映えて見えるでしょ?

 

器って大事なんだ。

 

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