それは高知の端にある。
高知は東西に長い県であり、その南西の端のほうに『足摺岬』という場所がある。
なかなか美しい岬であり、四国遍路第38番札所である『金剛福寺』がある。
そこから車で10分ほど走ると、『唐人駄馬遺跡』は存在する。
唐人とは異人のことで、駄馬とは平らな場所という意味らしい。
縄文時代から弥生時代にかけてこの地に人々が暮らす集落があったことが遺跡から分かっている。
言葉の意味のままとると、海の向こうからやってきた人が拓いた集落跡ということか。
6000～7000年前の貴重な土器や装飾品などが出土している貴重な遺跡である。
そしてこの唐人駄馬と言えば巨石群である。
世界中に散らばる、いわゆるストーンサークルと呼ばれる巨石群。
そのほとんど全てに言えることであるが、一体「いつ」「どのようにして」「何のために」作られたのかは謎である。
この唐人駄馬も、例にもれずどうやら謎らしい。
色々調べたが、真相に迫るそれらしい記述を見つけることは出来なかった。
あと、余談だが、他のストーンサークルと同じく『UFO』の目撃談も絶えないのだとか・・・
まぁまずは見てほしい。
この巨石たちから発せられるオーラを感じることが出来るだろうか。
ヤバくない？
伝わるか分からないが、これ一個一個めっちゃデカいから。
圧倒される。
山道に不意に現れる看板。
ここ一帯のマップが描かれている。
この看板のすぐ裏の山に巨石群はある。
正直巨石群への入り口は
「マジかよ」
と言いたくなるほど鬱蒼としてるし、昼なのに驚くほど暗い。
怖い。
実はこの唐人駄馬はパワースポットとしても知られている。
だからというわけではないが、確かに何かを感じずにはいれない独特の雰囲気がある。
到底、道とは言えないような順路を進む。
そうしてまず『千畳敷岩』という巨大で平らな岩にたどり着く。
そこからの景色を見てほしい。
太平洋を望む絶景に息をのむ。
この大きな一枚岩の説明を読むと
面積が広いから千畳と表現するのは分かる。
しかし、後半の文を読むと、巫女たちが奉納の神楽を舞ったとある。
いや怖すぎるだろ。
こんな山奥にある巨石群の上で月明かりのもと神楽を舞う？
絶対に人間以外の大きなパワーが働くだろ。
僕らが生まれるずぅーと昔、まだ、人ならざる者の存在も色濃く。
説明のつかない大きな力があった時代。
このような山奥で、ひっそりと巨石の上で神楽を舞う。
そんな漫画やアニメのようなことがあったなんてロマンしかないね。
そんなとてつもなく神秘的な場所だ。
分かりやすく言うと、『もののけ姫』でモロが、「黙れ小僧」と叫ぶあの岩の上のような場所。
パワースポットだという話を知っているからか、1人で来たからか、僕は結構ビビりながら巨石を昇っていた。
まわりには当然何もないし、誰もいない。
それなのに・・・
明らかに人の話し声が聞こえる。
様々な虫の声や鳥の鳴き声が聞こえてくる。
それに混じって人の声も聞こえるのだ。
虫の声や鳥の鳴き声が重なると、そういう風に聞こえるだけかもしれない。
それでもそういう風に聞こえる雰囲気がある。
僕はとにかく怖くなり、急いで来た道を戻る。
しかし、順路に沿って戻っているはずなのに、全く身に覚えのない道に出る。
その間も、人の声のようなものは聞こえてくる。
しかも、不意に耳元から聞こえることもある。
ヤバいかもしれない。
行きのときよりも、遥かに険しい道を下りていき、行きの倍の時間をかけて道路まで出た。
昇り始めたスタート地点から、30メートルも離れた場所だった。
恐ろしい思いもしたが、とてもパワーにあふれた面白い場所である。
高知に来ることがあれば、ぜひとも来てほしい。
天気のいい日に、複数人で。
この唐人駄馬の巨石群は、実はもっと広い範囲に広がっていたらしい。
しかし、この遺跡の価値がまったく分からない人々によって、40年ほど前に撤去されてしまい、公園にされてしまったようだ。
今も残っていたら、世界最大規模のストーンサークルとして君臨していたかと思うと非常にもったいない。
一節によると、海の向こうから見ると、月明かりに照らされた巨石群が光って見え、目印のようになっていたとか。
そんなロマンにあふれる唐人駄馬、おススメです。
もしかしたら不思議な体験も出来るかも・・・
