今週は寝てる時間しか家にいなかった。
早朝に出かけて深夜に帰ってくる。
そんな生活をしていて、すっかりと忘れていたことがある。
鳩のことだ。
ベランダを大掃除して、きれいにしたあと特に何するわけでもなく放置していた。
でもまぁさすがにあいつらも諦めただろう。
そう思い久しぶりにベランダを覗いてみた。
すると
めちゃめちゃ糞していた。
もうね、腹立つくらいに糞していた。
腹立ち過ぎて写真を撮るのを忘れていた。
そのくらい腹立って、またきれいにした。
そしてベランダを掃除していると、とあることに気付く。
それは、他の住民達がいつの間にか鳩対策をしているということ。
CDをぶら下げていたり、テープを張り巡っていたりと各々が対策をしている。
鳩の被害にあっていたのは僕だけじゃなかったんだ。
むしろ、僕がノーガード過ぎたんだな。
僕の対策はと言えば、鳩がベランダに入ってくる音がしたら窓を開けて
「オイっ！」
と声をかけるだけである。
それではまだまだ不十分。
早急に対策を立てねば。
もう二度と家の敷居を跨がすものか。
そう決心した夜。
軽い会食というか飲み会からの帰り、お腹が痛くて全然飲みも食べも出来なかった。行かなきゃよかったな。
そう思いながら家まであと数十メートルというところで急に雨が降ってきた。
しかも粒が大きい。
これは土砂降りになりそうだ。
そう思い小走りで家に帰った。
家に到着すると同時に一気に土砂降りとなった。
間一髪だったな。
お腹が痛かったので、電気を消して床に横になった。
お風呂に入ってないのでベッドには入りたくない。
でも立ってられない。
お風呂も入るのはしんどい。
じゃあもう床でいっか。
そう思い電気も消した。
すると、
『バサバサバサバサっ』
という音とともに、明らかに鳩のシルエットが窓に映った。
また来やがった。
怒ってやろうと立ち上がる。
そして窓際に行く。
驚かせようとそろりそろり近づく。
ゆっくり窓からのぞくと、雨に濡れた鳩が隅っこのほうで寒そうに体を丸めて震えていた。
その姿は、さっきまで、お腹が痛いと床に丸まっていた僕の姿にそっくりだった。
僕は窓にかけていた手をそっと離し、また床に寝ころんだ。
今日はお腹痛いから、怒る気力が萎えた。
明日からは絶対に許さんからな。
こういう部分があいつらにナメられる要因なのかもしれない。
雨は人を優しくしちゃうのかも。
でもいい。
雨に濡れて丸まっている生き物を追い出すほど冷たい男じゃないってことが分かったから。
自分のやさしさに気付いたいい夜だったな。
でも明日は、鳩見かけたら○す。
