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ビワイチ後半戦と尻の異変
琵琶湖を1周することが決定し落ち込みを隠せない二人(そもそも1周しにきたのに)
そんな二人を尻目にぐんぐんチャリを漕ぐ先輩。
とりあえず先は果てしなく長いので昼ご飯でも。
近江ちゃんぽんの全国チェーン店である。
そこの本店にあたる店舗にて昼食。
本店で食べれるなんて光栄。
うん。普通にいつも通りの近江ちゃんぽん。
高知にもあるし、なんなら滋賀に出発する3日前にも食べてた。
食べながら今日のルートを確認する。
お腹は満たされたが、僕と後輩の気分はまだまだ落ち込んだまま。
覚悟を決めてお店を出る。
僕らの気分を反映させたように空には厚い雲が広がり始めていた。
日中の走行はやはり暑い。
日差しはあまりないが肌にまとわりつく湿度と
振り払えない蒸し暑さは体力を奪う。
そしてこの自転車旅に新たな敵が現れた。
尻痛である。
昼食後辺りからおかしいと感じていたが、米原市に入ったあたりで確信した。
尻が痛い。
いや
ケツが痛ぇ。
なんと表現していいのか分からない。
表面が痛いような気もするし、中が痛いような気もする。
得体のしれない鈍痛が尻を襲う。
どんなに体勢を変えてもしっかりと痛みは並走してくる。
仕方がないので立ち漕ぎをするしかなかった。
街中でも、どんなに遅くても、立ち漕ぎ。
惨めだし恥ずかしかったけど
なりふり構っていられない痛みがお尻には宿っていた。
雨ニモ負ケズ
ごまかしごまかししているうちに長浜市に突入。
ほとんど琵琶湖が見えないようなルートを走っていた。
「今やってるのはホントにビワイチなんだろうか。」
そんな思いも出てくるほど特徴のない道を進む。
日が傾き始める。
分厚く覆っていた雲は、すぐ頭上にあるかのような存在感を放ち、
ずぶ濡れになる覚悟を決めるだけの猶予を残していた。
もちろん雨具などない。
後輩に至っては着替えすらない。
雨があふれる寸前に、貴重品やスマホなど、濡れては困るものをビニールに入れてカバンの奥へしまう。
ついでに靴さえもカバンにしまった。
靴濡れたら気持ち悪いもんね。
裸足で自転車を漕ぐおじさんの方が気持ち悪いという発想は1ミリも浮かばぬまま裸足ライダーはチャリを漕ぐ。
やがて、想像していたよりも激しい雷雨がやってきた。
ものの数十秒で全身びしょ濡れになる。
どうせ濡れるから一緒だと走り続けていたが、視界さえも遮るほどの大雨と半端じゃなく鳴り響く雷に一時休憩を余儀なくされる。
もう後戻りはできない
すぐ近くにあったさびれた神社に雨宿りさせてもらうことに。
日が落ちつつある神社の軒下で土砂降りの雨をやり過ごす。
周りを林に囲まれたのどかな場所。
まるでトトロのワンシーンのような光景。
出演者はサツキでもメイでもなくおじさん3人。
猫バスどころか車さえ通らない。
「あれ?」
あまりの車通りの少なさにちょっとした違和感を感じた。
ビワイチのルートってこんなに車も通らない道なの?
急いでカバンからスマホを取り出して現在地を確認する。
予定ルートから大幅に外れた場所で僕らは雨宿りをしていた。
雨で視界が悪い上に、スマホをしまっていたせいでナビが見れない状態
そのまま走り回っているうちにずいぶんと遠回りしていた。
先頭を走っていたのはもちろん先輩だ。
予定と違った場所にいることが分かった僕らは急いでルートを再検索。
あらかたの道筋を決めて再び走り出す。
相変わらずお尻は痛い。おまけに手まで痛くなってきた。お尻と同じ種類の鈍痛。
歯を食いしばってやっと元々目指していた道に出る。
そのまま国道303号を突き進むとトンネルが見えてきた。
何にも考えずにそのまま左側を走りながらトンネルに突入。
広い歩道は右側で、左側はくそ狭い歩道ですらないスペースしかなかった。
大失敗だ。
先頭を走っていたのはもちろん先輩だ。
トンネルのなかはどんな小さい車でも轟音で近づいてくる。
体のすぐ近くを走り抜けていく車は殺人兵器そのもの。
トラックなんて音だけで小便をちびってしまうほどの迫力で、通り過ぎる際には真剣に命の危険を感じた。
こんなに真剣に自転車のハンドルを握ったのは、初めて自転車に乗った5歳以来だ。
トンネルを抜けてしばらく走ると左手にコンビニが見えた。
『ローソン 西浅井塩津浜店』
ネットの情報ではここから先はコンビニも自販機も少なく、補給できる最後のコンビニだと書かれていたので晩ご飯がてら入店することに。
びしょ濡れ、尻痛、道間違い、真っ暗、車の恐怖、疲労感・・・
やめたい理由は数え役満。
しかし僕らは
もう後戻りできない場所まできていた。
つづく